――今回、ドキュメンタリー映画内で、普通のお父さんの一面を伺えるのも意外でした。レスラーとしてプライベートを見せることに抵抗感はありませんでしたか?
葛西 まるっきりなかったです。リング上で血を流して、気の狂った人にしか見えない自分でも、リングを降りたら、普通のお父さんと変わりませんよという部分を見せたかったです。昔のレスラーは、リング上でもリングを降りても超人であることを美徳としていたので違ったかもしれません。でも、自分はそういう考えではなく、スーパーマンであるのはリング上だけでいいと思っています。
――ご家族がお仕事に協力的なのが印象的でした。でも、どうしてそこまで身体を痛め危険な目に遭い、命を張ってまでデスマッチを続けるのでしょうか?
葛西 いちばん最初にデスマッチを始めたのが、親父に文句を言わせないための手段でしかなかったんです。でも、デスマッチを続けていくうちに、人に褒められたことのなかった自分が、「葛西選手のデスマッチすごいですね」、「葛西選手の試合を観て明日も頑張ろうと思いました」とか、「学校でいじめられてますけど、勇気出ました」と言われるようになったんです。
初めて人に必要とされているという気持ちが芽生えました。それでデスマッチが好きになったんです。だから、やり続ける理由は、デスマッチ愛しかないですね。
――そんな葛西選手が“デスマッチED”になってしまい長期欠場に至ったというこの1年。乗り越えられそうですか?
葛西 どうなんでしょう。ただ、デスマッチは一人でできるもんじゃないので。相手がいてこそなんです。「こいつにだけは負けたくない!」と思える相手に現れて欲しいです。ただ、「出てきて欲しいけど、超えさせないよ!?」と(笑)。