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UPDATE|2022/05/29

25年ぶり快挙、早川千絵監督『PLAN 75』がカンヌ国際映画祭でカメラドールスペシャル・メンション受賞

早川千絵(C) Kazuko WAKAYAMA

早川千絵が監督を務めた映画『PLAN 75』が、第75回カンヌ国際映画祭カメラドールスペシャル・メンションを受賞。フランスで行われた授賞式のレポートと、早川千絵からの喜びのコメントが到着した。

【写真】カンヌ国際映画祭でレッドカーペットに立つ早川千絵と磯村祐勇斗ほか【5点】

『PLAN 75』は、映画監督・是枝裕和が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を新たに構築、キャストを一新した、早川千絵のオリジナル脚本による、自身初の長編映画。超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自らの生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作だ。

本作は、第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門へ正式出品されており、5月20日(金)14時(フランス時間)にワールドプレミア上映が行われた。

司会者から名前を呼ばれた早川は緊張の面持ちで舞台に上がると、まず「メルシーボークー」とフランス語で挨拶をし、「誰にとっても最初の一本目というのは思入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとっての特別で大切な一本目の映画をカンヌに呼んでいただき、評価してくださって本当にありがとうございます」と感謝の言葉を伝えた。

日本で、受賞の一報を受けた主演の倍賞千恵子からは「この作品で『生きるということ』を優しく、力強く撮影していた日々が、昨日のことのように熱く蘇ってきました。サァーこれからもどんどん映画作ってくださいね。本当におめでとうございます」と祝福のコメントが届いた。また、公式上映に参加した磯村勇斗は「受賞を聞いて、心が喜びで波打っています。監督に現場で寄り添っていただいた日々が恋しいです」と振り返る。

日本映画においては、1997年に河瀨直美監督が『萌の朱雀』でカメラドールを日本人監督として初受賞してから、25年ぶりの快挙となる。日本人監督の作品が「ある視点」部門に出品されるのは、2017年の黒沢清監督『散歩する侵略者』以来5年ぶり。日本人女性監督としては、2015年『あん』の河瀬直美監督以来2人目だ。

『PLAN 75』は6月17日(金)に新宿ピカデリーほか全国公開となる。

▽早川千絵コメント全文

全ての映画監督に、最初に撮る1本目の映画があります。誰にとっても最初の一本というのは思い入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとって、とても特別で大切な1本目の映画を、カンヌに呼んでくださり、評価をしてくださって本当にありがとうございます。『PLAN 75』という映画は、今を生きる私たちにとって必要な映画だと言ってくださった方がいました。その言葉が深く心に残っています。

この映画の立ち上げからずっと一緒にこの作品を育ててくれた、プロデューサーの水野詠子さん、ジェイソングレイさん、フランス、フィリピン、日本のチーム、この作品に関わってくれた全ての人に感謝しています。そして、ミチという主人公に命を吹き込んでくださった倍賞千恵子さんに日本に帰ったら真っ先に報告したいと思います。

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