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UPDATE|2024/04/17

『虎に翼』寅子の”令和的価値観”への共感と、現代も続く”結婚至上主義”への落胆

伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』

4月からスタートした、伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』(総合・月曜~土曜8時ほか)。昭和6年、主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は「結婚した自分が想像つかなくて」「想像つかないどころか、全く胸が躍らない」と、婚姻制度に「はて?」と疑問を抱いていた。昭和初期を生きる寅子と、令和初期を生きる私たち。約90年の時代差があるにも関わらず、寅子の言い分や価値観にどこか共感できてしまった視聴者もいたのではないだろうか。

【写真】伊藤沙莉&松岡茉優のタイ焼きショットが「少女にしか見えないピュアさ」

女学校に通う寅子は、卒業したらすぐに結婚するようにと、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧められていた。だが寅子は「梅丸少女歌劇団に入りたい」と家出しようとしたり、お見合い相手の前で居眠りをしたりと全く乗り気ではない。

当時女性は結婚をして家庭に入るのが当たり前。そのレールを外れることはそう簡単に許されることではなかった。寅子は結婚に対して「はて?」と思い続ける日々の中で、大学で法律を学んでいる下宿人・佐田優三(仲野太賀)がきっかけで、「法」という存在を強く意識するようになる。

元々、女性陣が裏でせっせと用意したことを、男性陣が我が物顔で仕切る”男尊女卑”的な光景にうんざりしていた寅子。男性は女性をわざと蔑ろに扱っているのではなく、これが当時の自然な振る舞い方であり、女性もこれに疑問を抱くことなく「スンとしている」。この光景の根底は法にあるのだと、寅子は気が付いたのだ。

寅子は意を決してはるに「結婚をせず、法を学びたい」と伝えた。するとはるは「夢破れて、親の世話になって、行き遅れて、嫁の貰い手がなくなって、それがどんなに惨めか想像したことある?」「どう進んだって地獄じゃない」と寅子をどうにか説得しようとする。寅子は、はるが意地悪で「結婚できなかった女性は、惨めに地獄で生きていくはめになるのだ」と言っているわけではなく、純粋な親心から出た言葉だと分かっていたはずだ。だからこそ理解されない虚しさが募り「お母さんの言う幸せも、地獄にしか思えない」と言ってしまったのだろう。

AUTHOR

音月 りお


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