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UPDATE|2022/09/02

歩んだ道が違っていても、アナタはアナタでしたか? 映画『さかなのこ』が問う"好き"のもしも

(C)2022「さかなのこ」製作委員会

さかなクンの自叙伝「さかなクンの一魚一会 〜まいにち夢中な人生!〜」(講談社)を元に、ちょっと変わった伝記映画が誕生した。私たちが知っているさかなクンであり、ちょっと違ったさかなクンでもある。そんな実話とフィクションが交じり合った、寓話としてのおもしろさとサクセスストーリーが共存する『さかなのこ』が9月1日(木)から公開される。

【写真】さかなクンを演じる主演ののん、さかなクンも出演、映画場面カット【12点】

『横道世之介』(2013)の沖田修一と前田司郎による9年ぶりの共同脚本が再実現。出演者には、磯村勇人(『ビリーバーズ』『異動辞令は音楽隊!』)や岡山天音(『百花』『沈黙のパレード』)、柳楽優弥(『浅草キッド』『太陽の子』)といった若手実力派俳優が集結している点にも注目してもらいたいのだが、やはり注目してもらいたいのは主演女優だ。

主人公のさかなクンことミー坊を演じるのは、YouTube Originals映画『おちをつけなんせ』(2019)に続き『Ribbon』(2022)では劇場用映画の監督デビューも果たすなど、制作者としての才能を発揮する一方で、新作映画『天間荘の三姉妹』も公開が10月28日に控えている、女優のんである。

誰がさかなクンの役を女性が演じると思っただろうか……。

しかし、今作の冒頭には「男か女かはどっちでもいい」という言葉がデカデカと映し出されるように、「好き」を追及する者であれば、性別など関係ないというメッセージなのだ。それに加えて単純にさかなクンにどこか似ていたという理由もある。

中学3年生の頃にカブトガニの人工孵化に成功していたことや、寿司屋の壁一面に魚の絵を描いたことで注目が集まったなど、実際のエピソードもいくつか描かれていながらも、さかなクンの父親がプロの囲碁棋士でなかったり、ギョギョおじさんという人物が登場したり(ちなみにこのキャラクターをさかなクン本人が演じている)と、創作部分も多かったりする。

その中でも今作が事実と大きく異なる点は、『TVチャンピオン』という番組が存在していないことだ。さかなクンといえば、高校3年生のときに『TVチャンピオン』に出場したことがきっかけで世間に知られるようになったことが、今のキャリアを左右する分岐点だったはずだが、今作には、そんな『TVチャンピオン』が存在していない。もちろんそのワードを使うことができないのは理解しているが、それに通じる番組自体が登場しないのだ。

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