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UPDATE|2021/02/11

女優・坂井真紀が死生観を語る「子どもができてから心境が変わった」

坂井真紀 撮影/松山勇樹 スタイリスト:梅山弘子(KiKi inc.)ヘアメイク:ナライユミ

どんなに「自分は元気だ」と思っていても、生と死はいつも表裏一体。人は誰でも、この世に“生”を受けた瞬間から、“死”に近づきながら生きている。来たる2月20日より、全国で順次公開となる映画『痛くない死に方』(高橋伴明監督)は、そんな普段はあまり意識することのない当たり前の“摂理”に、真っ正面から深く切り込んだ話題作。在宅医療のスペシャリストとして、2500人もの人々の“最期”を看取った医師・長尾和宏氏の同名原作をもとに描かれる、命の尊厳をめぐる物語だ。今回、同作で末期がんの父を自宅で看取る女性・智美を演じた坂井真紀さんにインタビュー。作品の重要なテーマともなっている死生観についてもうかがった。(前後編の後篇)

【写真】笑顔でインタビューにこたえる坂井真紀と映画場面カット【12点】

前編<坂井真紀が語る高橋伴明監督の撮影現場>は【こちら】から。

――映画『痛くない死に方』で父親の臨終に直面した、坂井さん演じる智美が、主人公の担当の在宅医・河田(柄本佑さん)を「私が殺したんですか」と責めたてる場面。彼女の叫びは、作中のどんなセリフよりズシリと来ました。

坂井 あのシーンは、最初に佑くん側を撮ってから、次に私を、という順番だったんですけど、私自身は佑くんを撮っている時点で感情があふれてしまって、切り替わったときには涙がぜんぶ流れ出ちゃってて。そこから「これはどうなんだろう」と自分で考えた結果、ああいうお芝居になりました。監督はそこでは何もおっしゃらなかったけど、見せるべきはおそらく感情のMAXではないのかなって。

智美がお父さんと過ごしてきた時間を考えれば、その死を前にしたときにはどこか達観やあきらめもあるだろうし、でもやっぱりあきらめられない部分も当然ある。泣き疲れたあとのむなしさと怒り。言葉ではうまく表現できないですけど、あのときは「涙ながら」というより、そういう感情でしたね。


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