FOLLOW US

UPDATE|2022/11/03

トップクラスは1話あたり1200万円、人気脚本家で見る韓国ドラマ

左から『星から来たあなた』(2013)『サイン』(2011)『紳士の品格』(2012)

北川悦吏子、坂元裕二、福田靖、宮藤官九郎、野島伸司、尾崎将也、橋部敦子……日本には綺羅星のような脚本家が、ここには書ききれないほどたくさんいて、私も彼らのドラマにハマって何も手につかなくなったことがある。韓国ドラマもまずキャストが注目されがちだが、名作を名作たらしめる脚本家が数多く存在し、毎夜、創作の苦痛に耐えながら机に向かっている。

【関連写真】韓国で注目を集める日本人カズハ、ツキ、ヒナ

韓国の脚本家は一般的に大学の文学部あるいは文芸創作科を経て、放送局の作家募集に合格するか、数千倍の倍率の公募展で勝ち残り、作家の第一歩、厳しい修練過程を歩むことになる。10年~20年の下積み期間を経て、自分の作品が地上波放送で一度でも放送された作家は、現在韓国におよそ500人程度いる。

韓国の場合、日本と違ってドラマは16回、あるいは24回の場合が多い(最近、Netflixなどでは10回や12回の作品もある)。プロデューサーと演出家、そして作家が話し合い、あらすじが確定すれば、メイン作家の下に2~3人の作家を置いて3~4ヶ月の執筆作業に入る。もちろん、超有名作家になると、下に10人余りの作家を置いて作業をする場合もある。

ドラマは20~30%の視聴率が穫れれば、いわゆる大ヒットと言われ、脚本を担当した作家は人気作家の仲間入りを果たす。

それでは作家の1回当たりの原稿料はいくらになるだろうか。アシスタント作家は1回当たり5万円程度(16回なら80万円)で、中間レベルの作家は1回当たり10万~20万円(16回なら300万円程度)を受け取る。一見、悪くない金額とも思われるが、シナリオ作家はフリーランスであり、1年に1本担当した作品が放送されることは少なく、作品が終われば空白期間が長くなることもあるため、人気作家でなければドラマの脚本だけで生計を立てるのは相当な困難が伴う。

一方、メインの執筆作家ともなると原稿料は跳ね上がる。1回当たりおよそ120万円程度(16回だと1700-1800万円)となり、上位10~15人程度の超A級作家ともなると、1話当たりの原稿料は1200万円程度(16話なら2億円を超える)にもなる。

いわゆる末っ子作家と超A級作家とは超格差がある。彼らは台本練習(台本を執筆、修正、整えたりする作業)をする際にはコピーや軽食の準備から、出演者へのインタビューのまとめなど雑用もこなしながら、より良い作品を作るため日夜努力を続けている。

ここに日本でもドラマが放送されたことのある韓国の有名作家3人を紹介したい。

■パク・ジウン
1976年生まれ、全南大学国文科出身。1997年より作家として活動。『愛の不時着』で世界的にも有名となった。活動的な女性を物語の中心に据え、社会から疎外された人々や、社会の暗い面を、痛くなりすぎないようユーモラスに描くのに定評がある。主な作品に『星から来たあなた』(2013)、『青い海の伝説』(2016)、『愛の不時着』(2019)がある。

■キム・ウニ
1972年生まれ、水原大学メディア学科出身。2006年から作家として活動。視聴者をストーリーに引き込むのが上手い。登場するキャラクターは、過去に暗い傷をもっており、それを克服するところに焦点が当てられる。また、事前に出演者の性格も把握し、作品にそれを活かすことでも有名だ。主な作品に『サイン』(2011)、『シグナル』(2016)『キングダムシーズン1~3』がある。

■キム・ウンスク
1973年生まれ、ソウル芸術大学文芸創作科卒業。2003年より作家として活動。速いテンポで進むストーリーと魅力的なキャラクター、耳に自然と入ってくる台詞。ありきたりな設定もキム・ウンスクが手掛けると魔法がかかったかのように実に魅力的な物語に変わる。主な作品に『紳士の品格』(2012)、『トッケビ』(2016)、『ミスターサンシャイン』(2018)がある。

【あわせて読む】もはやK-POPでなくてはならない存在に、韓国で注目を集める日本人3人
AUTHOR

金 大俊


RECOMMENDED おすすめの記事