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UPDATE|2022/10/10

もはや一つの文化に、K-POPが世界を席巻できた5つの理由

KCON 2018 NYの模様 写真◎gettyimages

10月14日から16日にかけて、韓国のカルチャーフェスティバル「KCON 2022 JAPAN」が開催される。コロナ禍でオフライン開催の中断もあったが、KCONは日本や米国はもちろん、タイやメキシコ、フランス、アラブで開催され好評を博している。ファッションやフード、ドラマなど韓国カルチャーを幅広く楽しめるフェスではあるが、その中心はやはりK-POP。今回は、K-POPが世界中で愛されるようになった理由を改めて掘り下げたい。

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K-POPが世界進出できたのはまず第一にインターネットによるところが大きい。何を今さらという話だが、お金、時間、距離、言語、規制という5つの障害物を越えられるインターネットという環境はK-POPが世界に進出するためには不可欠であり、インターネットがなかった時代、レコードショップでCDを購入する時代には、今の世界規模のK-POP市場は生まれなかっただろう。

インターネット時代にK-POPは、コンテンツを無料開放するfree-mium(フリーミアム)という概念を導入した。K-POPのミュージックビデオは世界中で視聴可能なのはもちろん、公開と同時に多言語字幕でのサービスも展開している。近年では変わりつつあるが、日本のミュージックビデオは著作権保護のため国外では見られないものが少なくない。

韓国はこの障壁をなくした。すなわちミュージックビデオを無料でSNSで公開するだけでなく、多くの場合、ダンスパーフォーマンスver.まで制作される。音楽番組でのステージは、放送後すぐさまインターネットにあげられるほか、チッケムと呼ばれる、メンバー1人1人の表情や動きを追ったソロ動画もアップ。アルバムやCDを購入しなくても、曲そのもの=コンテンツを中心にファンとの共感を大事にするシステムを作った。

2番目の要因は、まさにその共感で、熱心なファン文化・Fandom(ファンダム)の存在が挙げられる。K-POPのファンは、ただライブ会場に来るだけでなく、さらに進化してFandom文化を作った。
K-POPでは、新曲のミュージックビデオが発表されると、すぐさまファンによってカバーダンスがYouTubeやTikTokに数多くアップされる。ファンは、他のグループのカバーダンスを見て「あのチームが上手い」「自分たちも頑張ろう」と、音楽を聞くだけではない、新たな楽しみ方をしている。

新曲リリース時には、Fandomが一体となって音楽を連続再生し、チャートインを狙ったり、自らお金を出して街頭広告を出すなど、アーティストを独自に応援する。事務所やレコード会社がお金をかけて行うプロモーションとは違う、彼ら独自のプロモーションでグループをもり立てるのだ。

これはなにも韓国国内だけの話ではない。韓国とは縁遠そうな、キューバ、東欧、アフリカなどでも数多くのK-POPサークルが存在し、SNSを通じて一か所に集まり、K-POPをかけて共に踊ったり、カバーダンスの腕を競い合ったりしている。
AUTHOR

金 大俊


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