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UPDATE|2022/12/16

【何観る週末シネマ】青春ガールズムービー『Never Goin’ Back / ネバー・ゴーイン・バック』

『Never Goin’ Back / ネバー・ゴーイン・バック』(C)2018Muffed Up LLC. All Rights Reserved. 

この週末、何を観よう……。今週公開の作品の中から、映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、12月16日(金)より公開される青春ガールズムービー『Never Goin’ Back / ネバー・ゴーイン・バック』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】青春ガールズムービー『Never Goin’ Back / ネバー・ゴーイン・バック』

〇ストーリー
テキサスの夏。親友であるアンジェラとジェシーは、高校を中退し、ダイナーでウェイトレスのバイトをしながらワンルームに同居していた。ある日、アンジェラがジェシーの誕生日を記念し、憧れのリゾートビーチへのバケーションをプレゼントしたことから物語がはじまる。旅行費用の支払いでなくなった家賃を稼ぐため、2人はアルバイトを増やしていく。その矢先、自宅に突然強盗が入る騒ぎでやってきた警察が、部屋にあるドラッグを発見し、2人は逮捕されてしまう。アンジェラとジェシーは、はたして憧れのリゾートビーチへ行けるのか。カオスな数日間が幕をあける。

〇おすすめポイント
主演がディズニー・チャンネルの「ティーン・ビーチ・ムービー」シリーズのマイア・ミッチェルというのは、『スプリング・ブレイカーズ』(2012)におけるヴァネッサ・ハジェンズやセレーナ・ゴメスに通じる、ディズニー・チャンネル・スターこそ闇があるとも言わんばかりな皮肉を感じずにはいられないが、ディズニー・チャンネル・スターが乱れたような役をやると割としっくりくるのは何故だろうか……。

監督を務めるのは、『クリシャ』(2015)や『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』(2017)など、女優としても活躍するオーガスティン・フリッツェルだが、今作はそんなオーガステインの半自伝的物語となっているが、輝かしいものを描くわけではなく、青春時代にやったバカなこと、いわゆる「黒歴史」を思い出させるような物語なのだ。

ある程度、誇張されている部分はあるものの、思い出したくもない過去って誰にでもあるわけで、特にティーンの頃にそんな思い出が埋まっている。そして大人になったとき、思い出したくない記憶の中に、小さな大切なものもあったりすることに気付いたりもするわけだ。過去のあやふやな記憶へのトリップ、探求こそが今作の本質であるように感じられる。

そうは言っても、単純におバカなガールズムービーとしての側面もあるため、その手のジャンルとしての見応えも十分にあるのだ。

今作は遅れて日本に入ってきたため最新作に感じられるかもしれないが、実は2018年の作品。オーガスティンの長編監督デビュー作だ。ところがすでに2作目となる『愛しい人から最後の手紙』(2021)がNetflix映画として日本でも配信されている。

『愛しい人から最後の手紙』は、秘めた想いを自由に伝えることができなかった時代と現代の違いを対比として見せており、今作のテイストとは全く違う純文学のような作風で、同一人物が撮った作品とは思えないだけに、今作が単純なおバカ映画に思えないのである。

日本では順番が逆になってしまっているが、作家性としてもふり幅の広さを実感させられるデビュー作だといえるだろう。『愛しい人から最後の手紙』もあわせて観ることをおすすめしたいし、次回作にも期待したいところだ。

〇作品情報
監督:オーガスティン・フリッゼル
出演:マイア・ミッチェル、カミラ・モローネ、カイル・ムーニー、ジョエル・アレン、ケンダル・スミス、マシュー・ホルコム、アティーナ・フリッツェルほか
12月16日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

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