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UPDATE|2022/12/23

【何観る週末シネマ】思わず息を飲む韓国サスペンス・スリラー『死を告げる女』

『死を告げる女』(C)2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & INSIGHT FILM All Rights Reserved. 

この週末、何を観よう……。今週公開の作品の中から、映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、12月23日(金)より公開されるスーパーナチュラルホラーからサスペンススリラーに変化するストーリーが特徴的な『死を告げる女』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】チョン・ウヒ主演の韓国スリラー『死を告げる女』

〇ストーリー
生放送5分前、テレビ局の看板キャスター・セラ(チョン・ウヒ)のもとに「殺される」と死を予告する情報提供電話がかかってくる。いたずら電話として片づけるには気が重いセラ。スクープを掴むチャンスだという母ソジョン(イ・ヘヨン)の言葉に背中を押され情報提供者の自宅に向かうと、そこで情報提供者のミソと彼女の娘の遺体を発見する。その日以来、事件のことが忘れられず取材を続けるセラは事件現場でミソの主治医だった精神科医イノ(シン・ハギュン)に会い、彼に対する疑いが深くなっていくのだが……。

〇おすすめポイント
シングルマザーが娘を殺して自殺するという痛ましい事件の第一発見者となってしまったキャスターのセラは、その日から謎の女性の影が付きまとうようになってしまうスーパーナチュラルホラー。……かと思いきや、セラ自身の過去がリンクしていくサスペンススリラーになっていくのが特徴的な作品で、グラデーション的な視点の変化、すり替えが巧妙といえる。

第三者であったはずのセラが事件を追ううちに、母からの呪縛のような抑圧から逃れるために無意識に蓋をしていた過去の記憶、トラウマが呼び覚まされていくことで明かされていく衝撃の真実の数々から目が離せない。

実力よりもルッキズム主義なテレビ業界に対してのシニカルなメッセージも込められていて、ストレス社会が人間の心に闇を芽生えさせるメカニズムも描かれているなど、様々な精神的ダメージ要素が加わり、ひとつのジャンルとしては言い表せないような作品に仕上がっているのだ。

そんな精神的に追い詰められていくセラを見事に演じたのは、『哭声/コクソン』(2016)や『雨とあなたの物語』(2021)など、出演作品が比較的日本でも配給されていることから知名度も高いチョン・ウヒ。その他にも畑澤聖悟の日本の演劇「おやの花王がみたい」を原作とした『親の顔が見たい』や日本映画『スマホを落としただけなのに』の韓国リメイク版など、今後も話題作待機している実力派女優だ。

〇作品情報
監督・脚本:チョン・ジヨン
出演:チョン・ウヒ、シン・ハギュン、イ・ヘヨン、チャ・レヒョン、ナム・ムンチョル、パク·ジヒョンほか
2022 年/韓国/111 分/カラー/ビスタ/5.1ch/日本語字幕:小西 朋子
原題:앵커/英題:THE ANCHOR/レイティング:G
配給:クロックワークス
12 月 23 日(金) シネマート新宿ほか 順次公開
(C)2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & INSIGHT FILM All Rights Reserved. 

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