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UPDATE|2022/12/18

映画コメンテーター・有村昆が即興で映画紹介“シチュエーション別”冬休みに観るべき1本

有村昆 撮影:松山勇樹

映画コメンテーターの有村昆。スキャンダル報道以降、エロ・コメンテーターとしても才能が開花し仕事の幅を広げているが、最も得意なのはやはり本業の映画解説。日々、膨大な作品を鑑賞し、その脳内には映画にまつわるあらゆるデータが詰まっているのだ。紆余曲折の人生経験を経て磨きが掛かってきているのが、シチュエーション別のオススメ映画をセレクトしてプレゼンテーションする「映画コンシェルジェ」。こんな気分の時はどんな映画を観ればいいのか? アリコンが1分間で考え、1分間でリコメンドする、即興映画紹介の妙技を披露してくれた。

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1 仕事や私生活がうまくいかず気分が沈んでいるとき、悩みが吹き飛ぶような明るい映画は?

「そんな気分の時に僕が観たくなる俳優はジャック・ブラックですね。なかでもオススメ作品は『スクール・オブ・ロック』。これはもう文句ナシにご機嫌な映画です。ジャック・ブラック演じる、荒んだ生活を送るロック好きのオジサンがバンドをクビになって、何もかもうまくいかなくなった時に、たまたま友達に来た学校の先生の仕事を見つけて自分が代わりに行ってしまう。でも彼はロックしか知らないですから、ロックの授業をして、子どもたちとロックバンドを組む…というお話なんですけど、とにかくジャック・ブラックの動きや演技を観ているだけで元気が出てきます。

俳優でいえばジム・キャリーにも同じようなパワーがありますよね。彼が主演の『イエスマン』という、人生がドン詰まった主人公が、すべてに対してイエスと言った瞬間から人生が変わっていくというコメディ作品があるんですが、これも同時にオススメします。

あと『スクール・オブ・ロック』はエンドロールも見逃さないでください。あれは本当の練習風景を、たまたま記録用のハンディカムかなんかで撮っていた映像で、ジャック・ブラックと子どもたちの掛け合いとか、その場でバンドのサウンドをアレンジしていく様子など、ドキュメンタリーとしてもよく出来ているんですよ」

2 受験勉強などで行き詰まった心に効く、観るとやる気がみなぎってくる映画は?

「これは簡単。『ロッキー』シリーズですね。定番中の定番ですけど、やっぱり観るだけでパワーをもらえる映画だと思います。シリーズは全6作、スピンオフの『クリード』も2作ありますが、この1本と絞るなら『ロッキー・ザ・ファイナル』ですね。あらゆる世代に伝わるドラマがありますし、これを観てやる気が出ない人はいないでしょう。現代の悟り世代の若者でも、昔の大人たちのバイタリティとかハングリー精神を感じて貰えば、心に火が点くと思います。

オススメのシーンは、これもエンドロールなんですけど、フィラデルフィアの美術館のところで、一般の人たちがロッキーのマネをして階段登って、両手を挙げてガッツポーズするホームビデオが延々と流れるところですね。あれはグっときます。

ロッキーって、言ってしまえば映画に出てくる架空の人物じゃないですか。でも、本当にいたような感覚になってますし、モハメド・アリみたいなスポーツ界の偉人と変わらない存在になっている。ロッキーは、それぞれの心の中にリアルに存在していて、いまも輝き続けている。

何が言いたいかというと、これはロッキーを観た世界中の人々が、映画の魔法にかかっているということなんですよ。だから、あの階段に行ったら、誰もがロッキーのようにビデオを撮りたくなる。その事実に感動するし、奇跡を信じたくなると思うんですよね。時間が無い時は音楽を聴くだけでもいいです。あのテーマ曲も大定番ですけど、やっぱりアガりますよ」

3 寒い冬は、外でデートするよりも部屋の中でぬくぬくしたい。そんなカップルに向けた、より仲が深まり、心の距離が近くなるようなオススメ映画は?

「男と女、それぞれ見方がありますし、意見も違いますから、カップルのどちらも楽しめる映画ってなかなか難しいんですよ。…と言い訳しつつも絞り出しました。『コーダ 愛のうた』ですね。これはアカデミー賞を取った名作ですけど、愛する人のために何が自分に出来るのかというテーマがあるなかで、それでも自分の夢を追うにはどうすればいいのか、そのために嘘をつく優しさとは、という領域まで深堀っていくんですよね。

主人公の女のコは、歌の才能がすごくあるんだけど、 周りの家族が全員が耳に障害がある、いわゆる聾唖者なんですね。女のコは音楽系のいい大学に進みたいんだけど、家族の世話や通訳ができるのは自分しかいない。その夢と家族の板挟みで彼女が悩むというお話なんです。

この両親は歌を聴くことができない。だから、彼女の喉元にお父さんが耳を当てて、その振動で歌を感じ取ろうとするシーンがあるんですよ。これは家族ですけど、恋愛とはこういうことなんだなと思ったんです。

男と女は見方も違うし、他人同士ですから、どうしても相容れない、分かり合えない部分ってあると思うんですけど、それは健常者と聾唖者も同じなんじゃないかと。喉に耳をあてるくらいのことをして、感じ取ろうとすれば、分かり合えるんじゃないか。

そういう意味では、ケンカしてるカップルとか、倦怠期のご夫婦が観れば、伝え合う、分かり合うという恋愛の原点を見つめ直すことができる映画なんじゃないかと思いますね」


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