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UPDATE|2022/12/18

映画コメンテーター・有村昆が即興で映画紹介“シチュエーション別”冬休みに観るべき1本

有村昆 撮影:松山勇樹



4 映画は楽しければいいというものではない。あえて鬱々とした気分に浸りたい夜もある。そんな時にピッタリで、観たことを後悔したくなるような映画は?

「これも定番ですけど『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。もう観終わったあと、こんな映画を作る人がいるんだと驚いたくらい後味が悪いです。主人公を追い込んで追い込んで、さらに追い込んで、最後にそうなってしまうんだというね。これは確実に鬱々とします。

でも、こういう映画って需要があるんですよね。他にも『ドッグヴィル』とか『少年は残酷な弓を射る』とか。あと『ナイトクローラー』もイヤですよね。パパラッチの世界の話なんですけど、なにもかもエゲツないですよ。リアルに落ち込みたければドキュメント作品もいいですね。『ゆきゆきて神軍』とか。もうそこに触れなくてもいいじゃんっていう所にどんどん触れていくので、観てるこっちが、もうやめてくれと言いたくなりますね。

ラストの後味の悪さでいえば、やっぱり『ミスト』でしょうね。新作だと『ザ・メニュー』もかなり鬱なラストなので、ぜひ劇場でズーンと落ち込んでいてください」

5 映画を観る醍醐味は、やっぱり感動。世知辛い現実に背を向けて、観るだけでハッピーになれる映画とは?

「個人的にオススメしたいのは『オーロラの彼方へ』という作品ですね。全然ヒットしなかった作品なんですけど、後味が最高に気持ちいい、隠れた名作だと思います。一種のタイムパラドックスもので、主人公がオーロラが出る日に無線機をいじってたら、 30年前のお父さんと繋がるんですよ。そのお父さんは消防士として働いている最中に殉職してしまっていて、調べると、その無線が通じている6日後に事故が起こることがわかる。息子はその事実を知って、歴史を修正してなんとかお父さんを救おうとするんです。

ポイントは、今と30年前がリアルタイムに繋がるので、このお父さんと主人公が同世代ということですね。そこを上手く生かした脚本が秀逸なんです。

僕は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がオールタイム・ベストですから、基本的にタイムトラベル系の作品が好きなんですよ。最近はタイムリープという、同じ時間を繰り返す作品が増えてますよね。『恋はデジャヴ』あたりから始まって、『バタフライ・エフェクト』とか。あとアクションものだと、『ミッション8ミニッツ』、トム・クルーズの『オール・ユー・ニード・イズ・キル』。ホラーだと『ハッピー・デス・デイ』もあります。最近の邦画で『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』という秀逸な作品も。タイムトラベルものは、アイディアや仕掛けが出尽くしたと思ってても、この手があったのかと感心する作品が次々と出てきますし、最後はハッピーな気持ちになれる可能性が高いジャンルだと思います」

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