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UPDATE|2022/11/25

戸田恵梨香と永野芽郁が見せた新境地、映画『母性』繊細にも残酷な“すれ違い”に激震

戸田恵梨香、永野芽郁 映画『母性』(C)2022映画「母性」製作委員会公式

湊かなえ氏の同名小説を、廣木隆一監督が映画化した『母性』が現在絶賛劇場公開中だ。ある未解決事件の語り手となる母娘を戸田恵梨香と永野芽郁が演じており、その2人の演技力と存在感は圧倒的。エンドロールが終わったあと「母性とは何だろうか」と考えずにはいられなくなる、この衝撃作に込められたメッセージとは?

【写真】戸田恵梨香と永野芽郁の新境地・映画『母性』場面写真【12点】

人間や動物には、「母性本能」というものがある。それを当たり前のように、受け入れて私たちは生活し、当たり前のようにそのワードを発しているわけだが、そもそも「母性」とは何だろうか。

全ての人間、動物が同じ母性を持つことなどありえない。それは生活環境や価値観によって、独自のものに形成されていくはずだ。その過程で屈折し、母性と信じているものが、他者から見た場合に「異常性」を感じないとも限らないのではないだろうか。

またその「母性」というものはデリケートなものであり、ちょっとしたこと、何気ない言葉が大きな影響を及ぼすことだってあるのかもしれない。

当たり前のように使っている言葉の意味を改めて考えてみると、見えなかったもの、見ようとしていなかったものが見えてくるだけではなく、その根底にある闇も浮き彫りにされてしまう。

映画『母性』では、「母性」というものに葛藤し、押しつぶされてしまう主人公を戸田恵梨香が恐ろしいほどに体現していて、その演技は戸田恵梨香出演作品の中でも極致に達している。どんどん顔が痩つれていく様は、その表情の中に、愛しているのに愛せない……そんな狂気と悲しみが共存しているようだ。怖いというよりも切ない。何が彼女を変えてしまったのだろうかと思うと、胸が締め付けられる思いに駆られる。

そこに追い打ちをかけるように、子の視点して説得力をさらに加えるのが、『そして、バトンは渡された』(2021)や『マイ・ブロークン・マリコ』(2022)など、話題作にひっぱりだこの永野芽郁の存在だ。


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