──現役バリバリで試合をしている方に失礼な聞き方かもしれませんが、45歳の今でも所選手にはUFCのトップ戦線で闘いたいという気持ちが残っていますか？所 いや、無理なんですよ。それはもう実績的にも僕には無理。そのへんは自分が一番わかっています。だけどそういう一流の選手たちとRIZINのリングで闘えたらいいなという気持ちがあったのは事実です。今回もジョン・ドッドソンと闘ってチャンスを掴みたいと思っている若い選手は国内にいっぱいいるだろうし、いい試合ができる選手もいっぱいいる。それを想像すると「僕なんかですいません」っていう気持ちになるんです。でも、だからこそみんなに認められる試合を今回はしなきゃいけないですよね。
所は自身の格闘技・フィットネスジム「所プラス」を武蔵小杉に構えている。今年で12年目を迎えたジムは、所の気さくな人柄もあって連日大盛況。スタッフ、会員、家族たちに囲まれて安定した生活を手にしたように思われる。それを踏まえると、いまだに総合格闘技のリングに上がり続ける理由がいよいよ見えづらくなるのだが……。
──ファイトマネーのためだけに現役を続けているようには思えないのですが、今の所選手にとって闘うモチベーションは何になるんですか？所 たしかに大儲けはできないにせよ、ジムをやっていれば生活はできます。だからお金のためじゃ決してないですね。今、所プラスはプロ選手が4人になりまして。その子たちと練習していると、やっぱり自分も頑張らないとダメだなって痛感するんですよ。自分もどんどんアップデートしていかないと、アドバイスもできないですし。一応、僕は教える立場ではあるんですけど、逆に彼らから教わることばかりです。僕は格闘技をあまり知らないし口下手なので、彼らに言葉で教えることはできない。だから自分の姿を背中で見せていくしかない。試合でちょっとはカッコいい姿を見せたいですね。
──所選手がデビューしたのは20年以上前だから、その頃とは格闘技の技術体系も大きく変わっていると思います。所 いや、もうだから僕なんて冷凍人間ですよ。大昔の技術でなんとか闘っているだけ。たとえば今の選手だったら普通に立ってくるようなところで、逆に僕は極めにいくとか、そういうところで勝負している部分はありますけど。総合というものが昔とは違う競技になっているのは間違いないです。ただ、今回も記念受験するわけじゃないので。やるからには当然勝つつもりでいます。
──現役で選手を続けるためには、ご家族のご理解やサポートも必要だと思います。所 いや～、特に奥さんには迷惑かけっぱなしで。ヤバいですよ、本当に。子供もそろそろ父親が格闘技の選手だっていうことがわかる年頃になってきたから、パパとしてカッコいいところも見せたいですしね。
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