「オーディションも結構な数を受けたんですよ。アイドル、雑誌モデル、女優……。でも結局、どこも引っかからなかったんですよね。書類審査の段階で落ちることも多かったです。それで芸能事務所がダメなら、大学のミスコンに懸けてみようと考えまして。実は私の母も昔ミスコンに出たことがあるんですよ。そのミスコンがきっかけで熊本のテレビ番組も出ましたし。だから大学のミスコンをテレビに出るための登竜門みたいに考えている部分は若干ありました」
しかしリチはファイナリストまで進むことができたが、結局、ミスコンで賞を獲得することはできなかった。こうして、OLとしてマーケティング業務に従事することになる。
「でも企業で働きつつも、やっぱりどこかで未練があるんですよ。だから趣味の延長みたいな感じで、エキストラ出演したりしていましたね。それから熊本ちゃんとしての活動も引き続き頑張っていました。そうしたら徐々になんですけど、熊本ちゃんのアカウントに仕事が来るようになったんですよ。ライター業とか、熊本観光協会のInstagram運用とか。でも会社は副業禁止だったので、『いただくお金は全額会社に入れますので、やらせてください!』って直談判していました」
気づくと、OL生活もすでに4年目に入っていた。この頃になると「熊本を全国にもっと知ってもらいたい」「熊本の番組にも出たい」という気持ちはいよいよ抑えきれなくなっており、一念発起するかたちで会社に辞表を提出する。アルバイトで生計を立てながら、熊本ちゃんに来る企業案件をこなすことにしたのだ。派手ではないが充実した日々を送る中、よく観る番組内での応募要項が目に留まった。それが「モンスターラブ」だったのである。
「『水ダウ』のクロちゃん企画は大好きだったんですけど、密着している映像をよく観ると明らかにうちの近所だったんですよ。使っているスーパーとかも同じでしたし。それで会社からの帰り道とかに、クロちゃんの家の電気がついているのを見て『あ、今日はクロちゃん帰っているんだ』とか確認するようになったんですね。もう毎日クロちゃんのことが気になって仕方なかった。半分ストーカーみたいな状態だったかもしれない(笑)」
それにしても、だ。「なんでクロちゃんなの?」という声は現在も極めて多い。ゲスなことで知られる人格、大のキャバクラ好きで選り好みばかりする図々しさ……。生理的に無理だという女性が多いのも頷ける話である。