3月30日に初の日本武道館コンサートを開催するのが、結成8年目のクマリデパートだ。いつもライブアイドルとして全力で活動し、気付けば10年近くの歴史を刻んでいる彼女たち。転機になった曲や、グループの魅力について改めて考えてみたい。
【写真】クマリデパート、爽やかで透明感あるジャケットアート3月30日の武道館公演に向けて、クマリデパートでは3カ月連続でリリース企画が進行中。1月には3rdアルバム『コスモデパート』、2月には昨年11月開催の中野サンプラザ公演のBlu-ray、3月にニューシングル『夏へのとびら』をリリースし、毎日のようにリリースイベントを開催中だ。
そもそもクマリデパートとはどういう意味かというと、グループ名に込められたコンセプトは、“世界のこころのデパート”。2016年3月の結成当時は早桜ニコ・優雨ナコ・羽井リサコの3人グループで、完全王道アイドルグループとしてスタートした。
「王道」といってもそれは48系列や坂道シリーズのような、可愛さやビジュアルの綺麗さを前面に打ち出したというよりは、インディーズアイドルらしいアクティブで楽しいムードをファンにもたらしてくれるものだった。当時はでんぱ組.incや天晴れ!原宿などの原宿系アイドルや、BiSHやBABYMETALなどロック系アイドルがブームだった時代。クマリデパートも衣装のビビッドな色使いに原宿系の影響を受けつつも、楽曲面でバラエティを増していく。
当初からユーロビートやデジタルサウンドの影響を受けた楽曲が多い中で、4thシングル『極LOVE浄土』ではファンク路線を採用してハロプロやフィロソフィーのダンスを思わせる曲調で、歌唱面もレベルアップしていることを見せつけた。2020年にはシングル『サクラになっちゃうよ!』のカップリング曲『ネコちゃんになっちゃうよ~』がブームを巻き起こす。
誰からも好かれる猫を曲のテーマに据え、電波ソングのような歌詞ながらしっかりEDM風のメロディーでとにかくキャッチーな1曲が生まれた。猫耳をつけたメンバーはかわいらしく、日常の些細な失敗ごとを全部「ネコになりたい」で吹き飛ばしてしまう歌詞はただただ楽しくて元気をもらえる。ネット上のファン投票企画ながら2020年の『アイドル楽曲大賞』でこの曲はインディーズ・地方アイドル楽曲部門で得票2位を獲得し、アイドル界でさらに知名度を広げた。
リリース以後、他グループとの対バンイベントなどでも人気の曲だ。 この時の成功を受けてか、最新アルバムの『コスモデパート』でも「なっちゃうよ」シリーズの新曲として『“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!』を収録。やはりゆるい歌詞にクマリデパートならではデジタルサウンドが合わさっていて、この独特のゆるさや幸福感もグループの魅力だ。もちろん『シャダーイクン』『アンサー‼』(2019)など、初期からのパワフルな楽曲も根強くファンから支持されている。
どんな楽曲でもクマリデパートの曲を聴けば、パフォーマンスを見ればポジティブな気分になれる。そんな幸福感をもらえることも確かにアイドルの条件を備えていて、彼女たちの「王道アイドル」ぶりとは、そういった楽しさをくれるという意味なのだろう。