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UPDATE|2023/06/08

新作映画も好調、『岸辺露伴は動かない』にみる“実写化成功”のカギ

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』ティザービジュアル (C)2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

5月26日より公開中の映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が好評を博している。漫画やアニメの実写化は基本的にヒットさせるのが難しいと言われているが、何故『岸辺露伴は動かない』の実写化はここまで成功したのだろうか。結論から言えば、“良い原作改変”が功を奏したのかもしれない。

【関連写真】『ジョジョの奇妙な冒険』35周年企画本とジョジョ展

『岸辺露伴は動かない』の原作漫画は、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのスピンオフ作品。第4部に登場したスタンド使いの人気漫画家・岸辺露伴にスポットを当てた物語で、形式としては1話完結型の短編集に近い。

そんな同作の実写TVドラマが2020年に制作され、「富豪村」「くしゃがら」「D.N.A」の3つエピソードが3夜連続で放送された。すると原作ファンのみならず『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズすら見ていない視聴者層からもたちまち評価され、同ドラマは2021年1月度の「ギャラクシー賞」テレビ部門で月間賞を受賞。漫画・アニメが原作の実写作品としては異例とも言える人気を博し、シーズン2やシーズン3も作られている。

そんな『岸辺露伴は動かない』の実写化シリーズを見てまず目を見張るのは、原作改変の上手さ。特に印象的なのは『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの代名詞とも言える、「スタンド(幽波紋)」に関する大胆な改変だ。

岸辺露伴は「ヘブンズ・ドアー」という相手を本にするスタンド能力を持っており、原作漫画ではスタンド使いとして能力を駆使して事件を解決したりしている。そしてスタンドには姿や形があり、「パワーを持った像(ヴィジョン)」と呼ばれることも。守護霊のように主人公のそばにいる「スタープラチナ」がオラオラしている図は、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズを読んだことが無い人でもなんとなく知っているだろう。

もちろん岸辺露伴のヘブンズ・ドアーにも姿や形があり、原作では白い服を着た少年のように描かれている。しかし実写版では原作と同じようにヘブンズ・ドアーの能力を使うものの、ヘブンズ・ドアーのヴィジョンは出てこないのだ。

それどころか「スタンド」という言葉すら使われず、ドラマ内では「ギフト」のようなものと説明されている。ともすれば原作ファンの怒りを買ってしまいそうな大胆な改変だが、これが“実写ドラマとしてのクオリティ”の底上げに繋がっているようだ。


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