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UPDATE|2023/07/06

『THE DAYS』世界で快挙の役所広司が語るドラマへの思い「今もまだ福島原発は全く終息していない」

『THE DAYS』日本外国特派員協会主催 記者会見より役所広司

役所広司主演のNetflixシリーズ『THE DAYS』が世界各国での大きな反響を受け、日本外国特派員協会主催による記者会見が5日(水)に開催された。会見には役所広司とプロデューサーの増本淳が出席し、作品に対する質問に回答した。

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ドラマの原案は、「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。全8話からなる本作は、入念なリサーチに基づき、3つの異なる視点から事故を克明にとらえた重層的なドラマ。「あの日、あの場所で何があったのか」を、政府、会社組織、そして原発所内で事故に対峙する者たち、それぞれの視点から描いた実話に基づく物語。

企画・脚本・プロデュースは、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズなど大ヒット作を手掛ける一方、『白い巨塔』、『はだしのゲン』といった骨太な社会派ドラマを世に送り出してきた増本淳。『コード・ブルー』シリーズの監督として増本と長年タッグを組んできた西浦正記と、『リング』シリーズの中田秀夫がダブル監督を務める。

世界配信開始後、日本を始めとする77の国と地域でTOP10入りを果たし、その後も3週連続でTOP10入りをキープし続け、3週目には世界4位に順位を上げた。

会見では、日本外国特派員協会会員向けに第1話、第3話が試写上映された後、主演の役所とプロデューサーの増本が登場。先日行われたカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した、世界の役所がスーツ姿で登壇すると会場は大きな拍手で包まれた。役所と増本は、以下の海外メディアからの熱い質問の数々に丁寧に応えた後、最後は笑顔でフォトセッションに応じた。

<海外メディアからの質疑応答>

Q.4年の構想を経ての公開となったそうだが、このドラマを作ることになった経緯は? 被災地へのボランティアにも行ったそうで、その経験がきっかけになったのか?

増本 地震から一か月後くらいにボランティアに行き、惨状を目の当たりにした。その時すぐにドラマにしようと思いついたわけではなく、月日が経って、何か震災と関われることを考えたとき、果たすべき役割を問い続けた結果としてこの作品が生まれた。

Q.これまで多くの実在する英雄を演じられてきたと思うが、なかでも今回の吉田所長は非日常的な状況におかれた普通の男性。この人物を演じるにあたってどのくらいの時間をかけたか?

役所 吉田所長のことは知っていたし、音声などはSNSで聞いていたから、表面的にはイメージはもっていた。今回、原作と脚本があり、この作品における吉田所長というのは、撮影現場に行って、現場の職員たち、東電本店、永田町とのやりとりを演じながら、その心中を自分の中に落とし込んでいった。

今回は歴史上の人物として演じるには、事後の経過も短く、観客も生々しさが残る中での演技。エンターテイメントしすぎない、演じすぎないようにと役者全員が、おそらくこんな気持ちで苦しんだのではないかと、ドキュメンタリーに近い方法で作り上げていった気がする。

Q.ドキュメンタリーのような気持ちで演じたとのことだったが、ドラマ的要素を感じた。ハリウッドのティザスタームービーにも近いし、『シン・ゴジラ』的な演出要素もあった。こういった出来事を作品にすることで、事故のトラウマを乗り越えるときにどういった役割を果たすか?

増本 乗り越えるための役割ということには明確な答えはない。これを観てトラウマを乗り越えるというより、12年経って忘れかけている、当時子どもだったから知らなかった人たちに事故を知ってもらい、傷ついた人たちの助けになるかどうかは分からないが、少しでも手助けになればと考えて作った。

役所さんが先ほどされたドキュメンタリーに近いという話については、観る人に「このシーンは感動的」だとか「これは英雄譚」といった感情の押し付けをしないように作っていったという部分だと思う。ドラマ的な部分は、若い人、興味がない人が視聴を脱落しないよう、エンターテイメントとして見てもらうための手法を使った。

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