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UPDATE|2023/08/09

宮崎駿も涙した才能…「物語の解釈」で名曲を生むテーマソング職人・米津玄師

スタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』の主題歌『地球儀』MV(YouTubeより)

シンガーソングライター・米津玄師の活躍ぶりが凄まじい。もとより歌手として世間に名を轟かせていたが、近年ではアニメや映画、ゲームなどのタイアップによって存在感さらに示している。さながら「テーマソング職人」とでも言いたくなるほどの活動量だ。

【関連写真】TBSテレビと円谷プロダクションが共同制作を行った『ウルトラマンシリーズ』

今年発表された米津のタイアップ曲といえば、ゲーム『FINAL FANTASY XVI』のテーマソング『月を見ていた』が記憶に新しい。さらにスタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』の『地球儀』も提供しており、こちらは宮崎駿監督が楽曲を聴いて泣いた、という逸話もある。

もちろんファンからの評価も圧倒的だが、そこでよく指摘されているのが、原作に対する解釈の解像度の高さだ。たとえば2022年に公開された映画『シン・ウルトラマン』の主題歌『M八七』は、その代表的な例だろう。

同楽曲の冒頭に置かれているのは、≪遥か空の星がひどく輝いて見えたから 僕は震えながらその光を追いかけた≫という歌詞だ。『シン・ウルトラマン』の内容と照らし合わせるなら、ここには主人公・神永新二と、遠い星からやってきたウルトラマン両者の視点が織り込まれているように見える。

「遥か空の星」は「地球」と「M78星雲」を直接的に表している一方で、神永が見たウルトラマンと、ウルトラマンが見た神永の存在を同時に表現しているのではないだろうか。禍威獣と戦うウルトラマンの力、そして子どもを守って命を落とした神永の強さは、両者にとって「ひどく輝いて」見えた……というように。

また、「僕」はかつてウルトラマンに焦がれた米津自身を示唆するようでもある。ほかにも同楽曲には、『シン・ウルトラマン』の内容と深くリンクしたフレーズが溢れており、タイアップ曲としてこの上ない出来となっていた。


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