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UPDATE|2023/09/29

“住宅街の花火”や“花火大会の有料席”に批判の声も、花火メーカーに聞く実情と課題

写真はイメージです

今年の夏は“花火”が議論になるケースが多かった。まずアルコ&ピースの平子祐希が8月中旬に自身のX(旧Twitter)アカウントで、「フェスくらいブチ上がってる。」という文言と一緒に住宅街と思われる場所で子供達が花火を楽しむ写真を投稿した。この投稿には肯定的な意見が多いものの、「そんなぶち上がりたいのであればキャンプ場なり然るべき場所に行けばいいのに」「迷惑極まりない。 住宅街ですることちゃうな」といった批判的な意見も少なくない。“近所で花火をする”という遊びが気軽に行えなくなった空気感を顕在化する事態となった。

【写真】インタビューに答えてくれた株式会社若松屋 竹内直紀さん

また、8月8日に開催されたびわ湖大花火大会も物議を醸した。有料席を囲う高さ4メートルの目隠しフェンスが設置されたが、フェンスの隙間から覗いて観覧しようとする人が続出。このことが報じられると“貧富の格差”を嘆く声が多かった。びわ湖大花火大会をはじめ現在、花火大会の7割が有料席を導入しており、花火は誰でも平等に楽しめるものではなくなったと感じざるを得ない。

ネガティブな花火に関するニュースが頻出した2023年夏だったが、花火メーカーはこれらの報道をどのように捉えたのだろうか。おもちゃ花火の販売などを行っている株式会社若松屋で営業部長を務める竹内直紀さんに話を聞いた。

まず平子の投稿をキッカケにした騒動について、「時代が変わって花火が気軽にできる公共のスペースが減った昨今、自分の家の敷地内で花火をやったことに対して、正直『そこまで言わなくても良いのでは』と思いました」と私見を述べる。

「平子さんも当該投稿の後に『十年住み続けて築いてきたお付き合い。そうして確立されたコミュニティの中で判断していますのでこちらは問題ありません』と説明していた通り、近所の人達と連携が取れていたのであれば、外で花火をするくらいは特に問題ありません。こういった批判が寄せられることはとても残念です」

批判的な声が生まれる要因として、「近所付き合いが希薄化したことで、隣に住んでいようが関係なく、近所の人がやることなすことを許容できない人が増えているのかもしれません。また、少子化も大きいです。子供を街中で見かけなくなり、子供の未熟な立ち振る舞いに触れる機会が減り、子供にも大人と同じようなマナーを求めたり、さらには子供に大人並みのマナーを身に付けてさせていない親を責めたりなどの声が生じやすくなっていることも影響しているのかもしれません」と予想する。

続けて、「そういった批判を気にしているのか、都市部では煙が出ない花火がよく売れるようになりました。パッケージに『煙が出ない』と記している商品が人気が高いです」という。

とはいえ、花火を気軽に楽しめない状況を受け入れているわけではないという。竹内さんは「各地方自治体に花火ができるスペースを確認して、花火ができる公園やキャンプ場などを掲載したアプリ『Hanabi-Navi』を昨年リリースしました。打ち上げ花火や大きい音のする花火はNGだけど手持ち花火ならOKという公園は意外と多いです。ぜひ活用してもらえると嬉しいです」と口にした。
AUTHOR

望月 悠木


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