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UPDATE|2023/10/08

『オオカミの家』だけじゃない、カルト的人気を誇るストップモーション・アニメの名作

映画『オオカミの家』メインポスター(公式Xより)

8月19日から続々と各地の映画館で公開されているストップモーション・アニメ『オオカミの家』。チリに実在したカルト教団を題材にしており、教団から逃げ出した少女の身に起きる悪夢のような出来事を描いた、ホラー・フェアリーテイルともいうべき作品だ。

【画像】世界でも話題になった日本のストップモーションの名作

その不気味で禍々しい世界観は、予告動画が公開された時点で大きな話題となり、上映された際には満員の映画館も見受けられたとか。鑑賞した人の中には『オオカミの家』をきっかけに、“ストップモーション・アニメ”というジャンルに興味を持った人も多いのではないだろうか。そんな人たちに向けて、今回はいくつかの名作をご紹介したい。

ストップモーション・アニメを語るうえでまず外せない人物といえば、カルト的な人気を誇るチェコアニメの巨匠、ヤン・シュヴァンクマイエル監督だろう。これまでに手掛けてきた作品は、短編・長編併せて30本以上。実写、粘土細工、コマ撮りなど、あらゆる手法を使い、独創的な世界観を作り上げてきた。

中でも長編第1作目にあたる『アリス』は、ストップモーション・アニメに初めて触れるという人におすすめの作品だ。

同作はタイトルの通りルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を題材としており、ストーリーも主人公のアリスが、ぬいぐるみのウサギを追いかけて不思議な世界に迷い込むというもの。しかしそこで描かれるのは、“かわいい”と“不気味”の間を行ったり来たりするダークな世界である。

作中には観る者の感覚を逆なでするような描写も多く、たとえば全くおいしそうに見えない食事シーンや動く生肉、ゴキブリの詰まった缶詰などが登場する。もはや“不思議の国”というより“ナイトメア”といったほうが正しい。パッケージ版の公式説明文として、「シュヴァンクマイエルのいかがわしくも悪趣味な妄想」と書かれているほどだ。

その言葉通り、確かに悪趣味かつグロテスクな世界観なのだが、なぜか目が離せなくなる不思議な魅力を感じさせる。同作を見れば、ディズニーの『ふしぎの国のアリス』や『アリス・イン・ワンダーランド』がいかに“キャッチー”に描かれていたかがわかるだろう。

そんなシュヴァンクマイエルの影響を強く受けている映像作家が「ブラザーズ・クエイ」。スティーブン・クエイとティモシー・クエイという双子の兄弟による名義であり、彼らもストップモーション・アニメを語るうえで欠かせない存在だ。

「ブラザーズ・クエイ」の代表作として挙げたいのは、『ストリート・オブ・クロコダイル』。1986年に発表された20分程度の短編アニメだが、今なおカルト的な人気を誇っている。


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