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UPDATE|2024/02/26

【何観る週末シネマ】親世代の不祥事が子世代にもたらす影響をサイコスリラー風味で描いた『マッチング』

©2024『マッチング』製作委員会

この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『マッチング』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】『マッチング』場面写真【3点】

〇ストーリー
ウェディングプランナーとして仕事が充実している一方、恋愛に奥手な輪花(土屋太鳳)は、親友で同僚の尚美(片山萌美)の勧めでマッチングアプリに登録をする。すると、この日を境に生活が一変。マッチングした相手の吐夢(佐久間大介)と待ち合わせると、現れたのはプロフィールとは別人のように暗い男。さらに、吐夢に出会ってから輪花のスマホの通知が鳴りやまない。「次いつ会えますか?」「次いつ会えますか?」「次いつ会えますか?」…。

恐怖を感じた輪花は、取引先でマッチングアプリ運営会社のプログラマー影山(金子ノブアキ)に助けを求めることに。一方、同じ頃、”アプリ婚”した夫婦が惨殺される悲惨な事件が連続して発生し、世間を騒がせていた。アプリでの出会いをきっかけに、一変する輪花の日常。家族や友人、輪花を取り巻く人物たちの”本当の顔”が次々に明かされていく中、事件の魔の手は次第に輪花の身にも迫っていく……。

〇おすすめポイント
マッチングアプリが一般化した現代。データ上のみの情報で素性も知らない人同士が出会うのだから、危険性もある。そんなマッチングアプリの闇を描いたもの……というわけでもない今作。

描いていることは実にシンプル。それでいて先の展開は、だいたい読めてしまう部分もあるのだが、そこはあまりノイズではない。わかっていても実際にその展開を画として見せられることで、恐怖?不気味?というのは強く感じられるものとなっている。

ビジュアル的にサイコスリラーのように感じる部分もあるかもしれないし、雰囲気としては「スマホ拾っただけなのに」シリーズにも似ている部分はあるが、全編を通して描かれているひとつの強いメッセージ性もかなりストレートだ。

それは、いつの時代も”不倫”はいけないということ。

一時の気の迷いが、当事者の一生どころか末代まで影響を及ぼすことになるかもしれない。極端で誇張された負のサイクルではあるし、それが殺人に繋がっていくかは別の話だが、そういった家庭事情を抱えている人たちは少なからずいる。

決してフィクションやファンタジーだと言い切れないのが、また恐ろしい部分ではあるし、親世代の不祥事によって左右されてしまう子世代の人間性への影響を描いた側面に対しては悲しさすら感じさせる作品だ。

そして、そんな負のサイクルに巻き込まれてしまうのが、土屋太鳳の鬼気迫る演技としては『累-かさね-』(2018)や『哀愁しんでれら』(2021)などを思い出させるが、それらとはまた違った、ホラークイーン的な立ち位置が逆に新鮮で『人狼ゲーム ビーストサイド』(2015)の頃のような懐かしさも感じた。

©2024『マッチング』製作委員会

〇作品情報
出演:土屋太鳳 佐久間大介 金子ノブアキ 真飛聖 後藤剛範 片山萌美 片岡礼子 杉本哲太 斉藤由貴ほか
原作・脚本・監督:内田英治
共同脚本:宍戸英紀
製作:『マッチング』製作委員会
制作・配給:KADOKAWA
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/matching/
2024年2月23日(金・祝)公開

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