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UPDATE|2024/02/27

『不適切にもほどがある!』なぜクドカンは真正面から“震災”を描くことを選択したのか

『不適切にもほどがある!』公式HPより



これまでも本作は、多様性に対する描き方に否定的な意見もSNSで投稿されてきた。安易に震災を描くことになれば、比べものにならないくらいに批判が巻き起こることだろう。もちろん宮藤官九郎は、そんなことは分かりきったうえであえて選択したのだろう。

今回のエピソードを鑑賞して、ふと思い出した作品がある。新海誠監督のアニメーション映画『すずめの戸締まり』(2022年)だ。女子高校生の岩戸鈴芽が、閉じ師の宗像草太と一緒に災いの元となる“扉”を閉じていくこの物語でも、東日本大震災が真正面から取り上げられていた。そして、フィクションが不意にリアルと接続することで、哀しい歴史が物語として消費されてしまうことに、少なからず批判の声もあがった。

もちろん、その批判は理解できる。だがそれ以上に、新海誠はフィクションの力を信じ、芸術が内包する治癒力を信じて、傷ついた私たちを癒そうとしたのではないか、とも感じた。それが、作家の傲慢主義と思われようとも。

この先、『不適切にもほどがある!』がどんな物語を紡いでいくのかは分からない。だが、第5話で大きくギア・チェンジしたことだけは確実だ。まだまだ我々は、このドラマの全容を知らない。第6話の放送を楽しみに待とう。

【あわせて読む】Z世代が観た『不適切にもほどがある!』、令和の”違和感”の正体とは一体何なのか
AUTHOR

竹島 ルイ


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