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UPDATE|2024/04/04

『不適切にもほどがある!』最終回の注釈テロップに込められた強烈なメッセージ

『不適切にもほどがある!』公式HPより

脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲによるTVドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の最終回となる第10話が、3月29日に放送された。(以下、ドラマ最終話のネタバレを含みます)

【写真】『ふてほど』最終話にゲスト出演した成田昭次、小野武彦、宍戸開【3点】

スポンサーが撤退してしまい、資金不足になったことで、タイムマシンバスの運行は残り一回に。EBSテレビのカウンセラーの仕事をサカエ(吉田羊)に引き継ぎ、市郎(阿部サダヲ)は昭和に帰っていく。すると、そのバスに見知らぬ2人の姿が。なんと、ドラマの主題歌「二度寝」を歌うCreepy NutsのR-指定とDJ松永だ。

どうやら、井上教授(三宅弘城)の手伝いのドサクサにまぎれて過去に来たようなのだが、令和に戻るバスに乗り遅れて昭和に残らざるを得ない状況に。最後はなぜか卒業式のサプライズ・ゲストとして登場して、パフォーマンスを披露する。1986年当時は日本に根付いていなかったラップのかっこよさに、中学生たちはもう夢中だ。明らかにここでは、ジャパニーズ・ポップの歴史が改ざんされている。

これまでのタイムトラベル系映画は、「過去に干渉してはいけない」というルールを遵守してきた。しかし宮藤官九郎が目指したものは、そういうものではない。このドラマでは、タイムパラドックスをガン無視して、令和的価値観・カルチャーをどんどん昭和に輸出している。それに感化されてしまった中学校時代の井上は、「科学者とメジャーリーガーの二刀流」という、斬新すぎる将来設計を語っているくらいだ。

今をより楽しい時代にするためなら、タイムトラベル系映画のお約束をいとも簡単に破壊してしまう。ここにクドカン流の、青春ワチャワチャ系の野放図さ、あけっぴろげさがある。彼のドラマにおいては、常に“楽しさ”が優先されるのだ。

AUTHOR

竹島 ルイ


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