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UPDATE|2024/06/26

年間700杯ラーメンを食べる男、ラーメン官僚に聞く麺人生「自分を変えたのは環七ラーメンブーム」

下頭橋ラーメン(ときわ台)。かずあっきぃ氏がハマった「土佐っ子」(ときわ台)で修業した方が独立開業。その味がほぼそのままの形で味わえる貴重なお店。撮影/かずあっきぃ

格差・貧困問題に取り組み、メディアで積極的に発言をしている作家・雨宮処凛が、バンドやアイドルなどを愛でたり応援したりする“推し活”について深堀りするコラムシリーズ第7回。今回のテーマは、ラーメン界にも推し活があるのか? そこで、年間700杯ラーメンを食べ続ける、日本全国のラーメン店の発掘と紹介をライフワークにしている、かずあっきぃ(通称、ラーメン官僚)氏に登場してもらい、あまりに奥深いラーメンの世界について語ってもらった。(前中後編の前編)文・雨宮処凛

【写真】ラーメン官僚、珠玉の推しラーメン3

あなたは知っているだろうか? 96年、ラーメン界で「明治維新のようなこと」が起きていたということを。

「この年は青葉、くじら軒、武蔵がオープンした年です。95年以前と96年以降は、地球上でいう恐竜時代とそれ以降くらいの違いがあります」

目の前でそう力説するのは、「ラーメン官僚」として有名な、かずあっきぃ氏。

年間700杯ラーメンを食べ続け、現在は通算2万500杯に達した人である。ラーメン以外はほぼ食べない生活を始めたのは2007年。Xのアカウントには、「ライフワークは日本全国のラーメン店の発掘と紹介」の文字が踊る。

ということで、これまでアイドルやプロレス、V系など人を「推す」ことについて取り上げてきたこの連載で今回取り上げるのは、ラーメン。

この世界も奥深いものがある。

なんとなく、私が30年以上にわたって推し続けているヴィジュアル系の世界とも近い匂いを感じる。共通するのは、ファンが濃い、独自のしきたり・呪文のようなコールがある、部外者には謎のルールがあり、それを破ると古参の怒りを買う、等々。このようなことにより、新規参入のハードルが高いところも似ているではないか。

ちなみに北海道生まれの私は味噌ラーメンが大好き。「東京で食べられる美味しい味噌ラーメン教えてもらお☆」くらいの軽い気持ちで始まった取材は、「絶対に辿り着けないゴールに向かって走り続けるアスリート」による鋭い分析と予言に満ちたような内容となった。

現在51歳のラーメン官僚が「ラーメンデビュー」したのは87年、中学2年生の頃。以降、高校生、予備校生とちょくちょく食べていたが、「この頃はただのラーメン好きですね」と振り返る。

そんなラーメン官僚の人生を変えたのは「環七ラーメンブーム」だった。「なんでんかんでん」や「土佐っ子」が有名で、環七に渋滞が起きるほど流行った時代。大学生となり、上京したラーメン官僚は年に100回ほど行っていたというからなかなかのものだ。

環七ラーメンだけでは飽き足らず、雑誌のラーメン特集に載っていた店を制覇する「食べ歩き」を始めるようになるまでに時間はかからなかった。そうして2000年代はじめ、ラーメン界に文明開化が起きる。インターネットの登場だ。「達人」たちが全国のラーメンを食べ歩き、星をつけていく「超ラーメンナビ」というサイトをガラケーで見つつ、ラーメン官僚は全国のラーメン店を巡るようになったという。


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