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UPDATE|2021/10/08

ハリウッド進出、園子温「アル・パチーノやデ・ニーロをチェーン居酒屋の2時間飲み放題に呼びたい」

園子温(C)2021 POGL SALES AND COLLECTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.



──ラストシーンも含め、いまの日本の現状に対する皮肉が込められているのかな、と思わせるシーンも随所にありましたよね。

園 日本でやる意義という部分で、ヒロシマやフクシマというのも取り込みたいなっていうのはやっぱりあって。だから、劇中に登場するクロックタワーって、ちょっと原爆ドームに雰囲気が似てるでしょ? あれの文字盤の時間って、広島の原爆が落ちた時間の1分前で止まってるんです。みんなで綱引きしながら「動かしたら危ない」って言っているのは、前に一回爆発したから、二度目は食いとめるっていう、そういう裏の意味があるわけです。

ちなみに、全身白スーツのガバナーも、ケンタッキーフライドチキンのおっさんをイメージした衣装。カーネル・サンダースだけど、手袋は血に染まって赤いっていうね。そういう裏設定は実はいろいろあるんです。

──裏設定を予習してから観ると、また違った見方もできそうです。では最後に、園さん自身の今後の野望などをお聞かせいただければ。

園 夢は、アル・パチーノとか(ロバート・)デ・ニーロとかをみんな日本に呼んで、ゴールデン街というよりは、渋谷の居酒屋チェーン店で2時間飲み放題とかのやつを堪能させたいなって。そこにニコラスがいれば、もうこれ、コッポラファミリーみたいなもんだしね。なんでも作れちゃう気がしてくるよね(笑)。

──まずはその第一歩となる本作を、日本のみなさんにも劇場でってことですね。

園 なんだかカルトでマニアックな作品だと誤解されていそうですけど、本当はディズニー映画よりも間口の広い作品。ディズニーだと、お父さんおじいさんが退屈するけど、こっちには色っぽい女があちこちに出てきてそういう気配りもちゃんとしてる。「今日はディズニーランド行こうか」ぐらいの気持ちで三世代そろって来ていただいて、コーラをガブ飲みしながら、1時間半を楽しんでほしい。そういう作品になっていると思っています。

(取材・文/鈴木長月)

▽園子温
1961年、愛知県生まれ。17歳で詩人としてデビュー。ぴあフィルムフェスティバルでのグランプリ獲得を契機にインディーズシーンで注目を集め、01年の『自殺サークル』で商業映画デビュー。以降も『紀子の食卓』や『愛のむきだし』、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などで国内外の映画祭を席巻。同業者にも数多くのファンを持つ人気監督の一人となる。本作以降も、ハリウッドでの企画がすでに進行中。

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