――外食は一人でできないと仰っていましたが、旅行は平気なんですね。南 仕事柄、急に1~2週間スケジュールが空くんです。そうすると友達とは時間が合わなくて、事前に約束ができないんですよ。それに若いときは安いチケットを探していたので、一人のほうが機動力もありました。それに私は飛行機に乗っている時間も好きですし、空港そのものも大好きで、空港にいるだけでときめくんです。
そういえば初めてのニューヨーク一人旅で、泊まる場所は確保していたんですけど、空港からの経路が分からなかったんです。ところがニューヨーク便で隣に座っていた女の子と仲良くなって、彼女はフィアンセが迎えに来てくれると言うので、「いいなー」と言ったら、「じゃあ乗っていきなさいよ」と車に乗せて行ってもらいました。そういう縁に恵まれていますね。
――お仕事に関しては、もともと海外志向はなかったそうですが、27歳のときにアメリカ映画のオーディションの話が舞い込みます。それまで海外の作品に出演したことはあったんですか?南 その前に一度スイス映画に出ているんですけど、そのときは日本に監督がいらっしゃっての撮影でした。
――オーディションでミロス・フォアマン監督と出会いますが、南さんにとって大きな財産となった出来事だったそうですね。南 だって『アマデウス』を撮った監督ですよ! すごく衝撃を受けた作品だったので、そんなチャンスがあるなら絶対に会いたいと思いました。実際にお会いしてみると、巨匠オーラはなくて、普通にニコニコしているおじさん(笑)。でもお芝居になると、ものすごくエネルギーを持って接してくるんです。本物ってこういうことなんだ、すごい人がいるもんだとカルチャーショックを受けました。結果的に最終オーディションでマッチングできずに、大きな挫折を感じましたが、貴重な経験でした。(後編に続く)
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