──テコンドー、空手の次は?安井 3つ目の競技は剣道でした。中学で部活動を始める際、「今度は武器を使った闘いがしたいな」と考えたんですよね。剣道で人生が広がったという部分は確実にあると思います。というのも剣道って「実は昔やっていた」という大人が多くて、そこで話が広がるケースも多いんですよ。人脈作りに役立つと言いますか。
──競技人口が多いですからね。安井 そう。だから空手のときと違って、剣道はなかなか勝てなかったです。やっぱり小学校の頃からやっている人はレベルが違うんですよ。それでも剣道を通じて“武器を使うことの快感”に目覚めてしまいまして、そのうちヌンチャクとかも学び始めるんです。とはいえ、ヌンチャクに関しては独学でしたが。
──なぜヌンチャク? 唐突すぎませんか?安井 家にヌンチャクがあったんですよ。たぶん鎌倉かどこかのお土産で買ってきたんだと思う。それで私は昔からわりと部屋が汚くなっちゃうタイプでして。テレビとかで紹介されている荷物が異常に散乱した部屋があるじゃないですか。
──さすがにそこまでではないと信じたいですが(笑)。安井 とにかくそのゴミ部屋みたいな部屋を掃除していたら、ヌンチャクを久しぶりに発掘したんです。「これだ!」と思いましたね。というのもお父さんと一緒によくブルース・リーの映画を観ていたので、単純にヌンチャクへの憧れが強くなっていたんですよ。だけど空手とか剣道と違ってヌンチャクは先生がいなかったから、自分で画面録画したものをスロー再生しつつ研究したりして、とにかく独学でいっぱい練習しました。ブルース・リーがヌンチャクで相手を威嚇するシーンとか、本当に時代を超えたカッコよさがあると思いますね。最高。
──ブルース・リーの何がそこまで特別に映ったんですか?安井 なんと言っても、まず動きが軽い! 軽いにもかかわらず、打撃には威力がある! だから説得力が他のアクション俳優さんとは全然違う! ブルース・リーの魅力を挙げていったらきりがないんですが、一番はそこになるでしょうね。
──好きで眺めているだけではなく、実際に自分もやってみる行動力がすごいと感じます。安井 やってみないとわからないことってありますからね。私の場合、ヌンチャクを始めたことで今度は興味の対象が古武術に広がっていったんですよ。今は天心流兵法という刀や鎖鎌や手裏剣などを駆使する団体に入門し、イチから学んでいる段階なんです。やっぱり想像していた以上に深いんですよね、武器の世界は。
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中編はこちら(取材・文/小野田衛)
▽安井南(やすい・みなみ)2004年3月13日生まれ、神奈川県出身。インフルエンサー、女優、モデル、タレントなどさまざまなフィールドで活躍している。
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