FOLLOW US

UPDATE|2022/10/11

高橋伴明監督がコロナ禍の社会的孤立&貧困を映画に「辛抱してきた怒りを約20年ぶりに解放した」

高橋伴明監督



昼間はアトリエで自作のアクセサリーを売り、夜は居酒屋で住み込みのパートとして働いていたが、コロナ禍により仕事と家を同時に失い、ホームレスへと堕ちていく主人公・北林三知子を演じたのは、本作が17年ぶりの映画主演となる板谷由夏。

「この映画の話が出る前から、制作会社とは漠然と『板谷が主演、監督が俺で何か撮れないか』という話はしていたんだ。板谷は全部こちらの意向を受け止めてくれたから、すごく楽だった。板谷の演技を見て感じたのは、『役を自分のものにする』というような言い方があるけど、役になりきったというのではなく、板谷が飲み屋で働くとこうだろうな、板谷がホームレスになったらこうだろうなとか、板谷由夏自身を見ているような感覚があった」

下元史朗といった高橋伴明常連組から、前作『痛くない死に方』で主演を務めた柄本佑、高橋伴明作品は初参加の筒井真理子、根岸季衣、三浦貴大など、錚々たる俳優陣が集結した現場はスムーズに撮影が進んだ。

「もう年だから、粘ってやるのが嫌になってる(笑)。もともと、そんなに注文つけるほうじゃないしね。経験上、テストを何回もして、いい結果になったことが、ほぼないんだ。何度もテストを重ねることで誰かのテンションが上がったとしても、その頃には誰かのテンションが落ちているんです。全員が同時に上がることはない。ちゃっちゃと決めたほうがいいし、結果、現場は早く終わっていた。もちろんキャリアのある役者さんが揃っていたのも関係しているけどね」

AUTHOR

猪口 貴裕


RECOMMENDED おすすめの記事