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UPDATE|2022/10/11

高橋伴明監督がコロナ禍の社会的孤立&貧困を映画に「辛抱してきた怒りを約20年ぶりに解放した」

高橋伴明監督



今回の映画では「辛抱してきた怒り」を約20年ぶりに解放したという。

「映画屋になった当初はずっと“怒り”が創作の原動力になっていた。でも『光の雨』を撮った時に、今後も怒りを原動力にして映画人として責任を取れるのかと思ったんです。キャンキャン吠えてもいいことはないし、もうちょっと自分を成長させないと、奥行きのない人間になってしまうなと。そのタイミングで監督も辞めようと思ったんだけど、“『光の雨』で連合赤軍事件を撮ったことで、いろんなことから自由になれたでしょう”って周りから説得されて、結局は辞めなかった。それで怒りを封印したんです。でも、ここ最近、あまりにも腹立つことばかりでしょう。年齢も重ねて、この20年間で人間としても進歩して、この辺で言いたいことは言わせてもらおうかなと。分かりやすく、私はこのことに怒っていますよと。そういう意味でも、今回は主人公に自分の想いを持っていきやすかった」

『夜明けまでバス停で』の完成後、安倍晋三銃撃事件が起こり、「ますます日本は悪い流れになった」と高橋伴明監督が慨嘆する。

「事件直後の参院選で自民党が圧勝したことで、怒りが増幅したし、こうなると政治だけじゃなく、なんで今の人は怒らないのかと、だんだん日本人に腹が立ってくる。今、自分に何ができるかと考えた時に、今は沖縄に行こうかと思っているんです。それで何ができるかは分からないけど、まずは行動しようと思っている。もう怒りを抑えるつもりはないし、また怒りを原動力にして、作品を撮っていきたいね」

監督生活50年目を過ぎても、まだまだ制作意欲はとどまるところを知らないようだ。

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AUTHOR

猪口 貴裕


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