──二人のやり取りは、まさに夫婦のように阿吽の呼吸ですけど、長くコンビが続く秘訣ってありますか?
村田 譲り合ったりすることじゃないですか。お互いに我慢することもあるやろうし、そうやっていかないと続かないと思いますけど。まあ、こいつは何でも言ってきますけどね。
久保田 相方には、不満を持たない。プライベートで起こった面白くないエピソードは持ち込ませない。変な営業を持ち込ませず。持たない、持ち込ませない、持ち込ませず、ですね。
村田 核兵器みたいに言うな。
久保田 非核三原則みたいなもんですよ。
──実際、久保田さんにプライベートのエピソードを止められることはあるんですか?
村田 ラジオとかでエピソードトークしても、あんま面白くない時は、ほんま面白くない顔してますね。全く笑ってくれないですし。
久保田 嘘つけんので。花に近いかもしれませんね。花は太陽を見たら咲きますけど、夜になったら萎んでしまう。僕も楽しかったら笑うし、楽しくなかったら笑わない。
村田 そんな綺麗なもんじゃないやろ。
──もうすぐ「M-1グランプリ」の決勝です(取材は決勝前)。お二人は13代目チャンピオンですが、今もチェックはしてますか?
村田 今年の準決勝は配信を買って見ました。高校野球みたいなもんで、1年かけて作り上げたものを、そこでぶつけるって、とんでもない熱量じゃないですか。決勝はだいぶ空気感も変わりますけど、準決勝って命をかけてる感じがするから、やっぱり面白いっすよね。今年思ったのは、正統派の漫才師がすごく減ってきてるなって。昔は10組いたら変化球は1組ぐらいだったんですけど、変化球だらけな感じはします。
久保田 僕は決勝以外、見ないですね。見てしまうと、面白いに決まってるから、正直なんで口に出しちゃう。それは選挙と一緒で、自分の好きな政党を言ってるようなもの。僕が意見を言ったことで、そのコンビを見る世間の目が変わったりする可能性もある。そういうことを恐れるならば、言うべきじゃないし見るべきじゃない。
村田 こっちは金払うて見てんねん! 凝視してんねん。全組、夢中になったわ!
──M-1で優勝してから、肩の荷が下りたみたいな感覚はありますか?
久保田 そうですね。M-1って芸人の徴兵制みたいなもので、(優勝してから)それがなくなったんで気は楽になりました。でも、さっき喫煙所で二丁拳銃の小堀(裕之)さんと話してたんですけど、「いつまで、いい設定ないかな?とか言うてんねん」と。漫才師なんでしゃあないですけど、嫌になりますよね。
村田 大きめのネタ番組に呼ばれてなかったら、「あれ……なんで?」ってなりますしね。漫才師なんで、やっぱネタ番組には出て行きたいですし。
──最後に来年の抱負をお聞かせください。
村田 レギュラーがあればなと。福岡で『とろサーモンのクズメンタリー』って番組を定期的にやっているんですけど、レギュラーに昇格して毎週放映できたらいいなと思います。ちょっと安心が欲しいというかね(笑)。
久保田 結婚したいです。それでYouTubeチャンネルで奥さんと一緒に、同じパジャマ着て、甘いスイーツの動画とか撮ってみたい。
村田 しょうもないな。
久保田 僕は自己評価が高いほうなので、これまでお笑いに対してストイックだった自負はあるんです。だから結婚したら、お笑いを冒涜するような生き方をしてみたいですね。