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UPDATE|2023/01/13

Vシネマの帝王・小沢仁志「還暦目前の映画でコンプライアンスを無視しても伝えたかったこと」

小沢仁志 撮影・松山勇樹



メインのロケ地となった福岡県中間市の全面協力により、ロケ地では迫真のシーンが実現、リアルでダイナミックな画面作りに結実した。

「中間市の現市長、福田健次は元俳優で、俺が前にいた夏木プロダクションの同期なの。中間市も過疎化が進んでいるから、いい宣伝になるだろうし、町ぐるみで応援してくれたよ。市民デモのシーンがあるじゃない? あれも普段からデモで現体制に反対している人たちを、『いつもデモしている人たちを集めましょう』って市長が自ら集めたんだから(笑)。いつもデモしているから芝居じゃない。プラカードも自分たちで持っているしね。撮影中は、言葉は悪いけど、中間市全体が巨大なロケセットみたいな感覚だった。市長に『あそこを使いたいんだけど』って言ったら、『分かった。ちょっと聞いてみるよ』と、そんな感じだったからね」

小沢を慕う有志たちが集まった後援会「九州小沢会」の存在も映画には欠かせないものだった。

「決してビッグバジェットの映画じゃないけど、現場に出るとNetflix級だからね。たくさんテントを張って、そこにラーメン、チャーハン、おでん、お好み焼きが並んでいるんだから、もはや縁日だよ。さらに小沢会が炭で肉を焼くんだ。それとは別に弁当もあるんだぜ。お菓子の差し入れも半端なくて、お菓子だけドーンと並べた車も用意している。みんな撮影が終わる頃には、『太った』って言うんだ(笑)。食い物だけじゃない。冒頭の拘置所を作ったのも小沢会。俺は畳じゃなくて、アメリカみたいな拘置所を作りたかったんだ。でも、いいロケ地がない。けど、九州小沢会のトップが福岡一の解体屋だから、一から全部作ってほしいと頼んだの。そしたら中間市に潰れた病院があって、もう壊すだけだから、そこにパネルを貼って。便所、洗面台、窓外の鉄格子まで、九州小沢会が作ったセットなんだ。

【後編はこちら】小沢仁志“還暦記念映画”にかける思い「CGなし、スタントなし、俺の魂の熱さを感じてほしい」
AUTHOR

猪口 貴裕


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