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UPDATE|2023/01/13

小沢仁志“還暦記念映画”にかける思い「CGなし、スタントなし、俺の魂の熱さを感じてほしい」

小沢仁志 撮影・松山勇樹



唯一の20代である坂ノ上茜は、オーディションで選ばれた。

「坂ノ上は頑張ったと思うよ。坂ノ上は、『昔からアクションがやりたくて、これをチャンスだと思って来ました』って言ってたからね。実際、途中で怪我もしたんだけど、一言も弱音を吐かなかったから、たいしたもんだよ」

ラストの山口祥行との立ち回りでは、まるで格闘技の試合を観ているような、全身全霊の死闘を繰り広げる。

「俺とヤマ(山口)の立ち回りは年末の『RIZIN』を見てるようなもんだよ(笑)。俺らが若い頃にやっていたアクションではなく、ちゃんと今のアクションの手法に変わっているんだ。殺陣師がつける殺陣に、こういうアクションはなかったよ。だから、めっちゃ面白くてね。いい年こいたおっさんが、新しいオモチャを与えられてめっちゃワクワクしてるような感覚で、楽しくてしょうがない訳。ヤマは俺と戦うシーンで、午前中の動きはいいんだけど、午後になると顔が真っ青になって、ほぼ死にかけてた(笑)。だってお互いにマジで殺しに行ってるからね。段取りはあってないようなもの。俺がマウントを取って、ヤマの顔面を殴る時に、床にこぶしをぶつけて骨折したんだから。ヤマだって殺らなきゃ殺られると思うから、本気で殴ってくる。今のテレビ局主導の映画だったら、絶対に止められるよ」

撮影期間も断酒を続け、ストイックな生活で肉体と精神を研ぎ澄ませた。

「やっぱ酒を飲むと筋肉が緩むし、動きのキレが落ちる。でも鍛え過ぎて体を小さくしたくなかったので、トレーニングはするけど、キレ重視で瞬発力を大切にした。撮影で福岡にいた時は、毎朝3時からジムに行って、一旦ホテルに帰ってシャワーを浴びて、6時に出発みたいな。撮影が終わった後も、帰り道に半身浴して、そのまま寝るのが唯一の楽しみ。撮影に入ると、そのことしか考えられなくなるからね。大体、福岡に行くと、九州小沢会の奴らと朝まで飲むんだけど、撮影が入るとピタッと飲まなくなる。なんて極端なんだと。あいつら(九州小沢会)は遊びに行きたいのに、『親父(小沢)は行かねえのかよ』と(笑)。何せ打ち上げで初めて中州に出たからね」

韓国マフィアと陰で手を組む巨大財閥の会長を太々しく演じるリリー・フランキーとの共演は念願だった。

「もともとリリーさんとは知り合いだけど、役者としてのリリー・フランキーに興味があって。温和な役柄からヤクザまで何でもできるから、ずっと共演したいって言ってたんだ。主演映画で言うと、『万引き家族』(2018)はもちろん、『その日、カレーライスができるまで』(2021)も良かったし、ずるいよな。俺がカレーを作る男の役なんてやったら、『ジャガイモかと思ったら指だった』みたいな感じでホラーになっちゃうよ(笑)」

AUTHOR

猪口 貴裕


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