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UPDATE|2023/01/13

Vシネマの帝王・小沢仁志「還暦目前の映画でコンプライアンスを無視しても伝えたかったこと」

小沢仁志 撮影・松山勇樹

“顔面凶器”“Vシネマの帝王”などの異名を持ち、映画、ドラマ、バラエティと、多彩なフィールドで活躍。昨年6月に還暦を迎えた俳優・小沢仁志が、“還暦記念映画”として主演はもちろん、製作総指揮を務め、自らオリジナル脚本も手掛けた『BAD CITY』が2023年1月20日(金)より全国公開になる。これまで300本を超える作品に出演してきた彼の集大成ともいえる本作へかける思いを存分に語ってもらった(前後編の前編)。

【写真】かたせ梨乃、リリー・フランキーも出演、最凶アクション映画『BAD CITY』場面写真

製作総指揮として、映画の企画段階から撮影のコーディネートまでこなし、自ら脚本も手掛けた『BAD CITY』。還暦を目前に、本作の製作を決断した背景には、過去に手がけた初プロデュース映画『SCORE』(1996)で興行成績が振るわなかった苦い経験があった。

「当時はVシネマ全盛期で、Vシネマなら、こういう風にビデオショップにアプローチをかければ、これだけ回るというのが見えたのね。でも『SCORE』は初のプロデュース映画というのもあって、どうしていいか分からなかった。1週間かけて映画館の前でチラシを配ったんだけど、何か用事があって外を歩いてる人に、チラシを渡して映画を見せる大変さを痛感したんだ。映画って不特定多数にアプローチしなきゃいけないから難しいんだよね。結果、興行的な成功には結びつかなくて、いつかリベンジをしたいと、そのタイミングをずっと探っていた。それで還暦を迎える時に、あの時の魂は枯れてねーぞ! という思いをぶつけるのは今じゃないかと思ったんだ」

還暦を過ぎた今もヘビースモーカーで、撮影がない時は毎日欠かさず酒を飲む。この日も数多くの取材をこなしながら、次々とビールやチューハイを飲み干した。しかし『BAD CITY』では年齢を全く感じさせないエネルギッシュなアクションを披露している。

「取材って大体同じことを聞かれるから、飲んでたほうがテンションも上がるじゃん。さっき健康雑誌の取材があったんだけど、長生きするために何かしようなんて考えたことはない。普段から体を鍛えてるかって?若い女と歩いていて、パトロンや父親に間違えられないために腹が出ないように鍛えてる。それでも健康かどうかは分からないけど元気ではある。そもそも長生きすることを考えてるんだったら、こんなにアクションが大変な仕事は選ばないよ。俺の中で人生は50歳で終わると思ってたから、今は余力。この先、どこまで続くか分からないし、死に向かって準備をしているようなものだね」

AUTHOR

猪口 貴裕


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