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UPDATE|2023/03/17

『舞いあがれ!』が描く恋愛と短歌、「生きづらさと思いを伝えること難しさ、その先に」

連続テレビ小説『舞いあがれ!』より NHK提供


「最後は舞の部屋で貴司の短歌のハガキを見たときに、悟るわけです。それで、舞にもちゃんと思いを伝えるべきだと背中を押す。史子は自分にとって孤独が大事だということもわかっていて、何かに寄っかかることが創作には結びつかないこともわかっている。だから、最後は潔いんですよ。そして、史子は自分の言葉で自分の歌を詠んでいくんでしょう。きっと、いい歌を詠む歌人になっていくと思いますよ」

ちなみに、ドラマに出てくる短歌は脚本の桑原亮子さんによるものだ。熊野さんは、脚本が送られてくる度にその短歌を目にして、驚くばかりだったとか。

「ここでこういう歌がくるんだ、と。もちろんすぐにわかることもあるんですが、最初に読んだだけでは理解できないこともあって。それが、物語が進む中で最後につながってきたりするんですよね。本歌取りで二重の意味があるというような点は、先の展開を読んで初めてわかって、驚きました(笑)」

思っていることを素直に言葉に出来る人は、それほど多くない。舞にしてもそうだし、兄・悠人(横山裕)も素直になれずに家族との関係に影を落とした。貴司は31文字の短歌の中に、思いを伝える術を見いだした。

山下美月演じる久留美の恋模様も含め、どこかうまくいかないこともあって、生きづらさを抱えている人たちが、向かい風を受けながら立ち向かっていく。それが朝ドラ『舞いあがれ!』。ドラマもいよいよ最終盤にさしかかる。舞の夢は今後どのような形で結実するのだろうか。最後に熊野さんは、「久留美も幸せになりますよ」とだけ教えてくれた。

【あわせて読む】『舞いあがれ!』チーフプロデューサーに聞く、福原遥ヒロインオーディションの裏側

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