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UPDATE|2023/04/08

元“広末涼子ものまね”芸人・おかもとまりの今「精神病棟への入院中に本当に全てがなくなりました」

おかもとまり 撮影/田中健児



おおよそ3ヶ月にわたる入院は過酷そのものだった。入院中に離婚が成立し、仕事に着手できず愛する息子たちにも会えない孤独な状態で、自分を見つめなおす日々を過ごす。

「入院生活中に本当に全てがなくなりました、本当にゼロとしか言えなくて」

だが、つらいばかりではなかった。全てを失ったからこそ、気づけたこともあったという。

「息子の存在、息子への愛1つに救われたんです。その時に、『愛とは“捧げるもの”なんだな』と強く思ったんです。これまで『人に良いように見られたい』と欲や期待をもって生活してきました。けど、そうした見返りを求める生き方って、何も返ってこないとつらくなるだけ。けど、息子は常に自然と私に笑顔をくれる。その息子のためだけに私は愛を送り続けよう。それ以外はもういらないと考えたとたんスッと心が軽くなって、人にも自分にも優しくなれるんだと気づきました。この気づきを私の息子にちゃんと伝えたい。そして、“愛すること”に悩む子ども・大人に伝えたいなと思ったんです」

まるで生まれ変わったような気分になった。「愛とは“捧げるもの”」をテーマにした作品の企画を練った。そうして生まれたものが、YouTubeで公開中のアニメ『ウシガエルは、もうカエル。』だ。大切な家族のために無償の愛を捧げるウシガエルの物語は、まさにおかもとの想いが見事込められていた。

現在も次なる作品についての案を巡らせているという。題材・テーマは変われど、“誰かの生きる力になれる作品”を作りたいという想いは通底している。

「私が過去に痛い経験をしたのは、誰かを救うための経験だったんだろうなって。それならば、その経験を活かすほかありません。もう、自分が何かをすれば助けられたかもしれない、と後悔したくない。私の作品は誰かの命に携わるものだと思っているんです。私自身、周りの方々にすごく助けられている身。少しでも皆様へと、私ができることを全力でやり続けたい」

華やかだった時代をうらやむことはない、今という時間の全てを慈しむ。“誰か”への想いは、これからも映画制作や動画制作、講演活動へと昇華され、形になり届けられていくだろう。

「この仕事・活動はゴールがないので、大変ではあります(笑)。たまにわけがわからなくなるんですよ、これは正解なの?これで誰かの支えになっているの?って。ただ、仮にこの活動が届かなくとも、私は愛を送り続けるだけ。私が何かの形で動くことで、誰かの明日につながってくれたのなら、それだけで幸せです。

もし悩んだとしても、誰かに届いてそれが助けになっているかもと考えると、乗り越えられます。何より、明日地球が爆発したらすべてなかったことになるわけで(笑)。後悔せず前に進むだけです」

(取材・文/田口俊輔)

▽おかもとまり
1989年12月13日生まれ、群馬県出身。“広末涼子似のかわいすぎる女芸人”として一世を風靡、現在は講演会講師のほか、映像制作、映画/アニメの原作・原案を中心に、公演活動など幅広く展開中。
Twitter:@okamotomari1989
Instagram:okamotomari1213
CREDIT

取材・文/田口俊輔 撮影/田中健児


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