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UPDATE|2023/07/21

文化人とは違うEXITの“裸の”コメント力、異色のニュース番組『ABEMA Prime』CPが語る

(C)Abema TV, Inc.

異色のニュース番組『ABEMA Prime』が、ここに来て存在感を増している。新しい未来のテレビ「ABEMA」のニュース専門チャンネル「ABEMA NEWS」で平日21~23時に生放送されている同番組のキャッチコピーは「みんなでしゃべるとニュースはおもしろい」。番組では侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が繰り広げられ、その内容がネットを中心に議論を呼んでいるのだ。

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MCを務めるのは、EXITの2人や安藤美姫、益若つばさ、ひろゆきなど、普通のニュース番組ではあまりお目にかかることのない面々。「上手いコメントを求めているわけではなく、裸になって、自分の本音をさらけ出してくれる人がいい」そう語るのは、チーフプロデューサーの郭晃彰氏だ。郭氏に異色のMC陣のキャスティング理由と、彼らのコメント力について聞いた。

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まず前提として、番組製作にあたって、知識量バトルにならないように意識しているという。そのため出演者には事前に“予習”をしないように頼んでいるそうだ。

「たとえば大学教授のように、ちゃんとした人がちゃんとしたコメントをするのがオーソドックスなニュース番組の構成ですよね。でも、それだとハードルが高すぎる気がして。知識量のハードルも下げたいし、ニュースを語る行為のハードルも下げたい。専門的な知識がない普通の人が、ニュースについてカジュアルにしゃべってもいいじゃないですか。

うちの番組出演者にはアクティビストもいるし、学生もいるし、起業家もタレントも文化人も外国人もいる。なるべくいろんな人をキャスティングしたいっていう思いがあって、レギュラーメンバーだけでも60人が揃っている。多様性という観点からも、いろんな職業の人に集まってほしいんですよね」

その言葉通り、キャスティングはかなりオリジナリティに富んでいる。MCやコメンテーターとして登場するのは、ひろゆき、あおちゃんぺ、紗倉まな、男色ディーノ、成田修造、呂布カルマなどなど……。おおよそ普通のニュース番組では見かけないメンバーだ。

「情報番組に出演する方には、テレビの中で求められる設定やキャラクターのままで話をする方もいるじゃないですか。申し訳ないけど、うちでは基本的にそういう方には出てもらわないんです。裸になって、自分の本音や価値観をさらけ出してくれる人がいい。識者や専門家が出てくると、『こういうことをしゃべるんだろうな』って先が読めることがありますよね。パズルのピースを当てはめているような感じで。だけど、それでは番組を作っているほうも観ているほうもワクワクしない。だから意図的に違う価値観の人に出てもらっている面はあります」

郭氏自身、レギュラー陣のコメントでハッとさせられることが多いという。たとえばEXITの兼近大樹。若い頃、不良グループにいた経験もある彼は、番組でいかにそのコミュニティから抜け出すのが大変だったかを詳細に語ったことがあった。

更生してまともな人たちと付き合おうとしても、それまでとは言葉遣いから遊び方まで何もかも違っている。したがって強烈な違和感に悩まされる。だけど元の不良集団に戻れば、今まで通りの価値観だし話も通じるから居心地のよさに引き戻されそうになる。訥々と(とつとつと)語る兼近の言葉は説得力に富むと同時に「その発想はなかった」という気づきがあったという。

「そのときは少年犯罪の再犯問題について語っていたんです。兼近さんが話していたのは、残念ながら社会には“犯罪をする”という選択肢がある人が一定数いると。良くないことだけれど、その存在を認識しながら、話をしないと上っ面のトークで終わってしまう。こういうコメントというのは、いわゆる”文化人”の方からは出ないと思う」

番組内で「所得が低い人は投票に行かない」という話題になったときも、兼近は「そりゃそうっすよ」と平然とした様子でコメント。「自分自身も生活に余裕が出たから政治に関心を持つようになったけど、カツカツの暮らしをしていたら選挙なんて無理っすね」と述べた。炎上してもおかしくはない。しかし、収まりのいいコメントに逃げないところが兼近の持ち味でもある。
AUTHOR

小野田 衛


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