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UPDATE|2023/08/01

『あいの里』Pに聞く中高年の恋愛番組を作った理由「おじさんとおばさんの恋愛って見たことがない」

Netflixリアリティシリーズ「あいの里」独占配信中



「実は、共同生活が始まって最初の二週間くらいは、恋愛が進まなかったんですよ。なぜなら家のリフォーム作業で、床をフローリングに張り替える作業に男性メンバー4人がハマっちゃって。特にたあ坊。でも女性陣たち、中でもトッちゃんなんかは、恋愛したいっていう気持ちをすごく強く持っていたから、たあ坊に一生懸命に話しかけるんですよね。恋はするものなのか、落ちるものなのかって考えた時に、以前の僕は、恋は落ちるものだと思っていたんです。

だけど、『あいのり』しかり、こういう番組をやるようになってからは、真逆に考えが変わりました。恋はするものって思ったほうが、圧倒的に高い可能性で恋をすることができる。だって、するっていう強い意思があることによって、相手を恋愛対象としてしっかり見ようと思うから。落ちるって思ってたら、なかなか落ちない」

だからこそ、出演者たちを選ぶ際にも、真剣に恋がしたい、愛を見つけたいと強く望んでいることが、決定基準となったという。

「新しい番組なので、あまり広く募集を掛けることはできなかったんですけど、ツテを辿ったりして、出演したいという人を募りました。今回の出演者たちの半分くらいは事務所に所属してアルバイトをしたりして生計を立てているんですけど、タレントだろうが俳優だろうが、恋をしたい、愛を見つけたいって気持ちは同じじゃないですか。だからその思いが真剣であればいいと思って。真剣さがなくて、売名目的の人には、外れてもらいました」

日常から離れて、古民家で共同生活をするという仕掛けにも、出演者たちの恋愛をヒートアップさせる狙いがあったという。

「古民家での生活は、リフォームや農作業に励むスローライフを、思った以上にみんな楽しんでいました。ただ、携帯もないし、限られたメンバーしかいないって状況なので、毎日同じ人たちとしゃべり続けるしかないわけです。人間ってそういう環境にいると、一週間もすれば話のネタがなくなって、自己開示を始めるんです。例えば『実はわたし、幼い頃にお母さんが死んで』とか『実は少年院に入ってた』とか。この2つの例は今回の出演者たちの話ではないですけど、そういう普段しゃべらない話をすると、やっぱり恋愛って始まりやすい。古民家だからできた環境というのがあると思います」

時にややこしく、時に不器用で、時にいとおしい出演者たちの織り成す恋愛模様に、笑って涙し、10年後、20年後、果たして自分は誰かを愛しているのか、誰かに愛されているのかと我が身を振り返る――。『あいの里』が高い評価を得たのは、誰しもに訪れる人生の後半、愛や恋がまだできるという希望をくれたからではないだろうか。『あいの里』はNetflixで好評配信中だ(後編へつづく)。

取材・文/大泉りか


Netflixリアリティシリーズ「あいの里」独占配信中

【後編はこちら】『あいの里』Pが語るヒットの確信「恋愛リアリティーショーを作ったつもりはない」

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