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UPDATE|2023/08/01

『あいの里』Pが語るヒットの確信「人生の後半をどう生きていくか、人間の本質が見られる作品」

Netflixリアリティシリーズ「あいの里」独占配信中

「もう一度、恋がしたい」と願う、さまざまな経歴を持つ35歳以上の男女が、田舎の古民家で共同生活を送りながらパートナー探しに挑む恋愛リアリティショー『あいの里』。中年同士の恋愛模様にスポットを当てるという、これまでにないコンセプトが注目を浴び、今年の5月にNetflixにて独占配信されるなり巷で大きな話題を呼んだ。この番組のプロデューサーを務める西山仁紫氏は、かつて一世を風靡した「あいのり」を企画した大ヒットメーカー。その西山氏に『あいの里』の制作秘話を聞いた(前後編の後編)。

【前編はこちら】『あいの里』Pに聞く中高年の恋愛番組を作った理由「おじさんとおばさんの恋愛って見たことがない」

【写真】ドハマリする人急増中『あいの里』名場面集

数多ある恋愛番組の中で『あいの里』が突出した面白さを持っているのは、出演者たちの個性や背景に焦点を当て、その人間くささや抱えている困難を、赤裸々に映し出しているからだ。もちろん全員が聖人君子というわけではなく、どうしても嫌な面や悪いところも映ってしまう。昨今の恋愛リアリティーショーでは、そこに登場する人々が注目を浴びた結果、誹謗中傷の的にされ、さらにはSNSを通じて直接本人に届いてしまうこともある。『あいの里』を作るにあたっていったいどんな配慮がなされたのか。西山氏は語る。

「僕はもともと、恋愛リアリティ番組を作っているつもりは全然なかったんです。日テレの土屋(敏男)さんが作ったドキュメントバラエティという言葉があるんですが、ようするに人間をどうやって描くか、人がどう生きてどう成長するかというところにスポットを当てたつもりです。ただ、僕は出演者たちのいいとこ探しをしようとも思っていて。

『あいの里』でいえば、ああいう隔離された古民家で夏の暑い中、ずっと生活していると人間の悪いところがいっぱい出てくるじゃないですか。撮影していると、いいところが3、悪いところが7くらいの割合で撮れてしまうし、テレビ的には悪いところのほうが面白かったりする。だけどそこばっかり取り上げるのは、僕は嫌いなんです。後味が悪いのは好きじゃないし、出演した人にも『参加してよかったな、本人よりよく描かれていたんじゃないか』と思われるくらいにしたい」

だからこそ、西山氏はいいところを7、悪いところを3くらいのバランスで描くことを心掛けているとともに、悪いところを多く出す場合には、編集で笑いに転ばせるというテクニックを採用したという。

「本当は、アンチョビ(料理人の男性出演者、数々の勘違いをして空回ってしまう)は優しすぎるくらいに心が優しいし、いいやつなんです。でも普通以上に優しいから、変な方向にいってしまった。彼の人間くささや愛らしさを出すためには、ドキュメンタリーの作りにしてはダメ。僕はドキュメンタリーの作りをやってると言いましたけど、アンチョビのシーンに関しては、バラエティの作りにしたんです。ナレーションとテロップでつっこんで、さらにスタジオでもMCの田村淳さんとベッキーさんに徹底的につっこませるという。番組側がアンチョビをいじり倒せば、逆にSNSでアンチがつっこむことはないじゃないですか。そうやって、1人ひとりバランスを取って、アンチが生まれないように考えて作ってます」


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