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UPDATE|2023/08/06

東村アキコが初の文章エッセイに「まだ描いてないネタがあった、子ども時代の選りすぐり傑作選」

東村アキコ 撮影/松蔭浩之

『東京タラレバ娘』や『海月姫』(ともに講談社)など、数々のヒット作が実写化され、近年はスマホ向けの縦読みの漫画シーンへも進出し、海外ファンの心も掴んでいる漫画家・東村アキコ。7月20日(木)に、自身初となる“全部活字”のエッセイ集『もしもし、アッコちゃん?』(光文社)を発売した。昭和末期から現在まで、常に生活の軸にあったという「漫画」と「電話」の進化をキーワードに、笑いに溢れた幼少時代のエピソードを綴った本作について、たっぷりと話を聞いた。

【写真】東村アキコ作カラーイラスト

100万部を超える大ヒットとなった育児エッセイ漫画『ママはテンパリスト』をはじめ、自身の半生を描いた『かくかくしかじか』(集英社)や小学校4年生の日々をモチーフにした『まるさんかくしかく』(小学館)など、これまで自分の過去や経験を数多く漫画にしてきた東村アキコ。そんななか、今回出版した『もしもし、アッコちゃん?』は、初の“文章”エッセイだ。

「これまでもたくさん子どものころのエピソードを描いてきましたけど、自分のなかにはまだまだ描いてないネタがたくさんあったんですね。あまりにもいっぱいあるから、これはもう文章で1冊にまとめちゃった方が一気に読んで楽しんでもらえるんじゃないかなと。漫画ではなく文章のエッセイにチャレンジしてみたい、という気持ちももちろんありました」

書き始めた頃は「ちゃちゃっと数日で書けます!と豪語していました(笑)」と振り返るが、書き始めると意外にも苦戦。執筆期間はトータルで約2年にも及んだ。

「文章を書くのは、アシスタントさんが必要ないし、漫画よりも楽なはず。1人で空いた時間に書けばいいじゃんと思っていたんですけど、やってみたらすごく大変(笑)。漫画だとアシスタントさんとああだこうだいいながら部活みたいに作業できるけど、書籍って孤独なんですよね。『先生、この横顔、めっちゃいいですね!』とか誰も褒めてくれない(笑)。ちょっとサボった時期もあったし、いったん書いたものを全部書き直したりもして。漫画の場合は、吹き出しで誰が喋っているかが分かるから、ほとんど主語を入れないんですけど、文章だと感覚が分からなくて『こんなに主語を入れていいんだっけ?』とドキドキしながら書いていました。光文社の会議室に数回カンヅメにもなったし。本当に苦労の結晶です」

本書はすべて、スマホの原稿用紙アプリで執筆。「漫画より楽だったのは、身体的な部分だけでしたね」と笑う。


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