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UPDATE|2023/08/06

東村アキコが明かす時間術「仕事は1日8時間、ランチを削ってでもドラマを4時間見たい」

東村アキコ 撮影/松蔭浩之

『東京タラレバ娘』や『海月姫』(ともに講談社)など、数々のヒット作が実写化され、近年はスマホ向けの縦読みの漫画シーンへも進出し、海外ファンの心も掴んでいる漫画家・東村アキコ。7月20日(木)に、自身初となる“全部活字”のエッセイ集『もしもし、アッコちゃん?』(光文社)を発売した。昭和末期から現在まで、常に生活の軸にあったという「漫画」と「電話」の進化をキーワードに、笑いに溢れた幼少時代のエピソードを綴った本作について、たっぷりと話を聞いた。(前後編の後編)

【前編はこちら】東村アキコが初の“文章”エッセイに挑戦「まだ描いてないネタがあった、子ども時代の選りすぐり傑作選」

【写真】東村アキコ作カラーイラスト

東村が本作で一番気に入っているエピソードは、「私、(藤井)フミヤと結婚するとよ」と言い出した保健室の先生の言葉を真に受けてしまい親戚を巻き込み大事に……といった小学生の頃の思い出を綴った『サモハンキンポーというあだ名の保健室の先生』だという。しかし、その鮮明な記憶力には驚かされる。

「幼稚園くらいから、ほとんど全部覚えているんですよ。人と話していると思い出すこともあるじゃないですか。今回はそうやって思い出したエピソードも、ネタ帳みたいにスマホに全部メモってました。実は、ほかにも収録できなかった鉄板ネタがまだまだあるんです。“オガタくんが受験票を忘れた話などは、話すたびに周りの人が涙を流して笑います(笑)」

取材中、本書に入れられなかったという“オガタくんが受験票を忘れた話”を披露してくれた。

「シンプルに言うと、一緒に筑波大学の推薦入試を受けに行ったオガタくんが受験票を忘れた、という話なんですけど。推薦入試だったから、広い構内に誰もいなくてオガタくんと2人で『すごい並木道やね』とか言いながら歩いていたら、突然『パン!』って音がしたんです。誰もいないから、その『パン!』がこだましてて(笑)。何ごと!?と思って隣を見たら、オガタくんが自分のおでこをたたいてたんですよね。

受験票を忘れて『あちゃー』みたいな感じで。しかもオガタくん、眼鏡のつるが顔に刺さって血が出てて(笑)。『血が出とるよ!?』って。でも、オガタくんは私に受験票を忘れた、と言えなくて『なんでもないです、行きましょう』みたいな感じでスタスタ歩き出しちゃって……みたいな話です。といっても、これまだ序盤なんですよ。『タイタニック』でいったらまだトランプやってるくらいの(笑)」

本書では、そんな学生時代のおもしろエピソードのほか、“電話で漫画を読む時代”になった現在についても書かれている。東村は、韓国などで人気のスマホ用の縦読み漫画・ウェブトゥーンに2018年、いち早く参入。2020年には、その功績などによって芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。


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