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UPDATE|2023/08/19

“バラエティ界のカリスマ” マッコイ斉藤「遊びの中から生まれる企画のほうが当たる」

マッコイ斉藤 撮影/荻原大志

数多くの人気番組を手掛けたことから「バラエティ界のカリスマ」と呼ばれてきたマッコイ斉藤氏が、満を持して単行本『非エリートの勝負学』(サンクチュアリ出版) を上梓。発売1カ月が経った今も大きな話題を呼んでいる。

【写真】“バラエティ界のカリスマ”と呼ばれる演出家・マッコイ斉藤氏【6点】

書籍出版のオファー自体は今でも何度かあったというが、「30代とか40代で自叙伝を出すなんて、調子に乗っている感じしかない」という理由で断り続けてきた。しかし50代に突入したことで、その考えも徐々に変わったそうだ。

なぜこのタイミングで本を出そうと考えたのか? 若い世代に伝えたいこととは? 今後、メディアやお笑いはどのように変わっていくのか? “バラエティ界のカリスマ”がすべてを語った。

「普段はお笑いをやっている人間が、なにを真面目に仕事論や半生を語っているんだという照れ臭さは強かったですね。だけど、もうそんなことも気にすることもないかなと思ったんです。今の20代~40代のテレビ関係者に読んでほしいという思いもありましたし。やっぱりね、今の若いディレクターなんて俺から言わせるとナメているんですよ。あいつら、俺らがしてきた苦労の半分もしていないので。

こういうことを口にすると、『今は時代が違う』とか老害扱いされるんでしょうね。ふざけるなっていう話ですよ。お笑いに新しいも古いもないですから。何1つわかっていないやつらが時代のせいにして、本質から目を背けているだけ。時代に沿った新しい笑いを作るのは大いに結構。でも、せめて否定するなら過去を勉強してからにしてくれと言いたいです」

本書はテレビ制作の最前線で戦ってきた男の半生記であると同時に、章の間にはマッコイ斉藤氏が仕事を通じて獲得した思想が名言・格言としてまとめられている。このパートを読むとテレビ業界のクリエイティブ部門という特殊な世界だけでなく、あらゆる社会人にとって普遍的な“気づき”が散りばめられていることに驚かされるはずだ。

「サラリーマンだろうが公務員だろうが基本は同じだと思う。俺は周りに好かれようとするやつや上司に媚びる奴が大嫌いなんです。好かれようと周囲の顔色ばかり窺っている人間は、仕事のクオリティも低いし、結果的にそれで嫌われることも多いですしね。

特にテレビ業界というのは、群れの集団なんですよ。『誰々はあそこの班に異動したので、今度はあの芸能事務所と仲よくしなくちゃいけない』みたいな話ばかり。テレビ局は2~3年で人事異動することも多いですからね。そのたびにコロコロ態度を変える人をいっぱい見てきた。

ある意味、彼らは反面教師です。仕事が終わってから、メシとかつき合うことも俺はまったくしなかった。それだったら、プライベートな友達と一緒に過ごしているほうがよっぽど有意義じゃないですか。面白くもない上司がする昔の自慢話なんて、得るものは一切ない。今の若者は飲みニケーションとか否定する傾向にあるらしいけど、まったくもって正しいですね。あんなの日本の唾棄すべき企業文化だから」

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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