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UPDATE|2023/08/10

本当の意味での男女平等とは?革新的映画『バービー』が現代に問うテーマ

(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

最も古いファッションドールとして知られるバービーが初めて実写映画化される。日本で今も商品展開されている人気シリーズで、一時期ジェニーという名前でも販売されていた。

【写真】マーゴット・ロビー演じる映画『バービー』場面写真

「トランスフォーマー」の映画化が成功して以来、おもちゃの映画化企画は急増。「レゴ」や「プレイモービル」に続き「ミクロマン」「ファービー」「ホットウィール」「ベイブレード」などといった映画化企画も進行中であるなかで、「バービー」の映画化というのも注目されてきた企画のひとつだ。

2000年以降から定期的に『バービーのくるみ割り人形』(2001)や『バービーと人魚の国マーメディア』(2006)などといった、ビデオストレート(劇場公開ではなく、DVDやVHSでの販売を目的とした長編作品)もしくは配信用の長編アニメ映画は制作されてきているし、パロディ的なものでいうと『スーパードール/パパが人形に恋をした』(2000)といった作品もあるが、実写映画化というのは今作が初めてだ。

そのまま映画化すると、過去に同じファッションドールの映画化『ブラッツ』(2007・日本未公開)のように、おしゃれな女の子の日常生活を描くだけになってしまうところを、グレタ・ガーウィグがかなりとがった作品に仕上げてきた。

主演を務めているのはマーゴット・ロビーであるが、当初はコメディエンヌのエイミー・シューマーがバービーを演じる予定だったことからも、ストレートなガールズムービーとして描くつもりなど、毛頭なかったということだ。

そんな今作の元となったバービーを誕生させたのは、「ホットウィール」や「マスター・オブ・ユニバース」などを販売するアメリカの大手玩具メーカー、マテル社であり、マテル社とバービーは常に共に歩んできた同士のような存在。バービーが存在していなければ、今のマテル社もなかったかもしれない。

もともとマテル社は、ハロルド・マトソンとエリオット・ハンドラーが1945年代に創設した企業であるが、そこにエリオットの妻であるルース・ハンドラー(ちなみにルースの自伝映画も製作予定)も加わることとなった。

初期のマテル社もモデルガンやミニカーなどの男の子向けおもちゃを製造していたが、ルースが自分の娘のバーバラが遊ぶおもちゃが少ないことに着目。実際に当時は、女の子が遊べるおもちゃというと、映画の冒頭にも登場する赤ちゃんドール、もしくはペーパードールに紙の衣装を着せ替えするものしかなかったのだ。

ルース夫妻がスイス旅行に行った際に、ドイツの新聞「ビルド」の一コマ漫画でドイツ人を相手にするコールガール「リリ」をモデルとした男性向けのコレクションドールと出会う。そこでルースはリリドールを女の子が遊べるファッションドールにしてしまおうと思い立ったことが、バービー誕生のきっかけである。50年代は、女性の社会進出が珍しかった時代にルースが舵をきって進め、成功させたのがバービーなのだ。


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