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UPDATE|2023/10/21

【何観る週末シネマ】ジェラルド・バトラーを世界的インド俳優アリ・ファザールが追う『カンダハル 突破せよ』

(C)2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、10月20日(金)より公開されている『カンダハル 突破せよ』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】『カンダハル 突破せよ』場面写真

〇ストーリー
イラン国内に潜入中のCIA工作員トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)は、核開発施設の破壊工作に成功した直後、CIAの内部告発により機密情報が漏洩し全世界に正体が明かされてしまう。即刻ミッションを中止し中東からの脱出を図るトムが目指すのは、アフガニスタン南部のカンダハルにあるCIA基地。30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機に乗らなければ、生き残るチャンスはない。イランの精鋭集団・コッズ部隊のほか、パキスタン軍統合情報局(ISI)も絶好の「金づる」になりうるトムの捕獲に乗り出し、さらに、タリバンの息がかかったゲリラ、金次第で敵にも味方にもなるウォーロード率いる武装集団など、トムの行く手にはさまざまな勢力が立ちはだかり、敵味方の入り乱れる壮絶な死闘へと追跡劇が繰り広げられるのだった。はたして執拗に襲いかかる敵の追跡をかわし、無事カンダハルに辿り着くことができるのか……。

〇おすすめポイント
ブルース・ウィリスが俳優を引退してしまった影響もあってか、中規模アクション映画のオファーが殺到中で、リーアム・ニーソンの仕事量に近づきつつあるジェラルド・バトラー主演の最新作。『P.S. アイラヴユー』(2007)や『スマイル、アゲイン』(2012)といったロマンスや家族映画に出演していた頃が幻想だったかのように、アクション映画に出ずっぱり。ちなみに11月23日からも主演映画『ロスト・フライト』が公開される。

アクション映画ばかりのイメージになってしまっていることが良いのか悪いのかは置いておいて、今作は『エンド・オブ・ステイツ』(2019)、『グリーンランド-地球最後の 2 日間-』(2020)と続けて、ジェラルド・バトラーと監督のリック・ローマン・ウォー第3弾タッグ作品であるのだが、それ以上に注目すべき点を多く含んだ作品である。

脚本として参加しているミッチェル・ラフォーチュンは、アメリカ国防情報局の職員として、アフガニスタンをはじめとした中東区域に何度も派遣されたという異色の経験をもつ凄い人物。

今作はあくまでアクション映画とされてはいるが、そこに描かれているアメリカ、イギリス、アフガニスタン、パキスタン、またその中の派閥や信仰の違いによる三つ巴、四つ巴では収まらないような独特の緊張感と距離感といった、センシティブな部分に、ただならぬリアリティを感じるのは、ミッチェルが脚本を務めていることが大きく影響しているのは間違いないだろう。

また主人公をしつこく付け狙うISIのカヒルを演じているのは、ボリウッドとイギリス映画界を行き来し、『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)などのハリウッド映画にも出演する、世界的なインド俳優となりつつあるアリ・ファザール。

近年は日本のAmazonプライムで配信されているドラマ『ミルザープル 〜抗争の街〜』でメインキャラクターを演じているほか、先日配信が開始されたばかりのタブー主演によるNetflixのインド映画『諜報』でも祖国を裏切る難しい役どころを見事に演じている。来年公開予定のボリウッド映画で、サーラー・アリー・カーン主演によるアンサンブル作品『Metro.... In Dino』にも出演するなど、演技派俳優として世界からも、インド国内からも注目されているのだ。

(C)2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

〇作品情報
監督:リック・ローマン・ウォー
出演:ジェラルド・バトラー、ナヴィド・ネガーバン、アリ・ファザール、バハドール・フォラディ、トラヴィス・フィメル、ニーナ・トゥーサント=ホワイトほか
2022/イギリス/DCP5.1ch/シネマスコープ/英語/119 分/G/原題:KANDAHAR
字幕翻訳:平井かおり・字幕監修:大久保義信
提供:クロックワークス、アスミック・エース
配給:クロックワークス
公式 HP:klockworx.com/movies/Kandahar
10月20日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

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