6月にアンジュルムから和田彩花、Juice=Juiceから宮崎由加が卒業。その後、モーニング娘。’19に3名、アンジュルムに1名、Juice=Juiceに2名の計6名が加入し、グループに新たな彩りを加えるなど、激動の夏となったハロー!プロジェクト。新体制として各グループも動き出した今、ハロプロを愛する識者はこの動きをどう見ているのか? SF翻訳家・書評家であり『50代からのアイドル入門』を執筆するアイドルフリークでもある大森望氏に話を聞いた。
──大森さんがハロプロにハマったのは、どのへんからですか?
大森 コンサート自体は市井紗耶香卒業のモーニング娘。武道館(00年5月)が最初です。02年の横アリのハロコンにも行きました。だけど正直、当時はあんまりピンと来なかった。そこから10年以上空白があって、ネットで乃木坂46とかの動画をいろいろ漁っていたとき、『わがまま 気のまま 愛のジョーク』のMVに辿り着いたんです。このときのモーニング娘。は道重(さゆみ)-鞘師(里保)体制。EDM路線やフォーメーションダンスでニューモードに突入していたのが印象的でした。それで13年秋の中野サンプラザ公演を観に行ってドハマリしたんです。
──その2人も卒業しましたが、興味を失うことはなかった?
大森 そこがアイドルの面白いところですね。確かにメンバーはどんどん入れ替わって、当時とはほぼ別グループになっている。しかも、つんく♂がハロプロの総合プロデュースから外れてしまった。
──たとえばですが、秋元康先生抜きのAKB48や乃木坂46は考えられませんからね。
大森 そう。それまでは「ハロプロのアイデンティティって何?」と訊かれたら、やっぱりつんく♂でしょ、と言っていたのに、その前提が崩れてしまった。要するにこれって野球ファンみたいなものだと思うんですよね。たとえば20年阪神ファンをやっていれば、選手はもちろん監督だって変わるし、下手したら社長やオーナーも変わるかもしれない。それでもタイガースという球団の醸し出す空気感が好きで応援し続ける。ハロヲタって、やたら事務所に対して辛辣じゃないですか。英語のスペルを間違えると、鬼の首を取ったように喜んでいるし(笑)。そのへんも野球ファンと似ているんですよ。「ベンチがアホやから野球でけへん」じゃないけど、運営批判はヲタクの大好物だから。