全編モノクロの長編デビュー作『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』(2014)が注目され、2作目『マッドタウン』(2016)でもジム・キャリーやキアヌ・リーブスなどが出演し話題となった、アナ・リリ・アミリプールの最新作にして長編第3作『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』が11月17日より公開されている。
【写真】『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』場面写真【11点】『レギオン』『キャッスルロック』などのドラマのエピソード監督やクリスティーナ・アギレラのミュージックビデオなど、幅広いフィールドで映像センスを見せ続けることから各界で魅了されているアナ・リリ・アミリプール。
『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』では、演技力が高く評価されるチョン・ジョンソを主演にむかえ、ケイト・ハドソンやエド・スクラインといった俳優陣が脇を固めているが、やはり注目すべきはチョン・ジョンソの圧倒的な存在感。ストーリーが割とシンプルだからこそ、ジョンソの演技力ありきで構築された作品ともいえるだろう。
今作の主人公モナ・リザは、目を見た相手を操る特殊能力の持主であり、ある日その能力が覚醒。しかし10歳の頃から精神病院に入れられていたことから、あまり外の世界を知らず、見るもの全てが斬新で刺激的に感じる。そんな、あどけなくもどこか未知なる危険性も含めたキャラクターを見事に演じているのだ。
人は出会った人物や環境によって、その後の人生が左右されるものだが、モナ・リザが出会う人々を通じて、どう変化していくのか。モナ・リザはヒーローになるのか、それともヴィランになるのか……といったグラグラした精神状態をさまよう様をチョン・ジョンソが体現し、そこにアミリプールの映像センスが融合することで、90~2000年代前半のインディペンデント系作品のような、どこか得体のしれない魅力に満ち溢れた作品となっている。