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UPDATE|2023/11/17

『マーベルズ』ついに公開、宇宙を舞台にオフビートなユルさで展開されるガールズトーク

(C)Marvel Studios 2023

11月10日から公開されている映画『マーベルズ』。

【写真】『マーベルズ』場面写真【15点】

そもそも、キャプテン・マーベル(キャロル・ダンヴァース)は、『キャプテン・マーベル』(2019)の公開以降、最強キャラクターのひとりとしてMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のなかでは他のキャラクターとは距離を保っていた。がっつり登場させるとパワーバランスが崩れるということで『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でも登場シーンは極力短くされていた。フル尺での登場が避けられてきたこともあり、キャラクターとして良くも悪くもミステリー感が増してしまっていた。

そんな流れによって、もともと『キャプテン・マーベル』にあった、宇宙という壮大なスケールを舞台にしていながら、オフビートなユルさが薄れてしまっていた。ドラマ「ミズ・マーベル」のティーンエイジャー向けガールズムービー的なノリが融合し、またそのノリとミズ・マーベルのキャラクター性も重なって、本質に強引に引き戻したことにより、絶妙な世界観が構築されているのが11月10日から公開中の『マーベルズ』だ。

キャロルの挙動不審感も復活していて、そんなキャロルの人間らしい姿を観たかったという人は多いのではないだろうか。

「ワンダヴィジョン」や「ミズ・マーベル」などのドラマを観ていないとわからない部分があるという問題もあるが、それに関しては観客としても、そろそろ覚悟しなければいけないことである。

もともと映画の尺だけでは描き切れない部分を補うためにドラマを多く制作していこうという試みによるものなのだから、この距離感はマーベルにとっての完成形だし、そもそもそれがDisney+という配信サービスを作った理由のひとつでもある。

アメコミというもの自体が、ひとつのシリーズだけを追っていても同時進行で他の作品内でも別のストーリーが展開されていて、それを繋ぎ合わせることでひとつの物語が完成するというスタイルをとっている。それを映画界にも持ち込んだというだけ。一方でライバルのDCは、逆にドラマ企画を白紙に戻し、映画作品を中心に展開していく方向性になっているようだが、どちらが良いかは好みに分かれるとしか言いようがない。

今作で監督を務めたニア・ダコスタは、都市伝説をもとにしたホラー映画『キャンディマン』(1992)のリブート作品であり続編でもある『キャンディマン』(2021)も手掛けており、オリジナル版でも描かれていた人種問題をより鮮明なかたちで描いた社会派ホラーとして蘇らせたことでも評価された33歳の若手女性監督。次回作はノルウェーの劇作家ヘンリク・イプセンによる戯曲「ヘッダ・ガーブレル」の映画化に挑戦する。

マーベルは近年、ドラマ作品が多く制作されていることや映画の質の劣化などが騒がれている一方で、マンネリから脱するためにアクション畑ではない監督を多く起用する傾向にある。


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