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UPDATE|2024/03/24

Z世代の昭和好き、阪田マリンの高校時代「『湘南暴走族』を読んで鞄に夜露死苦…誰にも理解されず」

阪田マリンX(@marin_syowasuki)より/撮影:ウィリアム・セナ



青春ものから犯罪ものまで、独自の世界観が展開される内容にも惹かれつつ、中学生の阪田の目を惹いたのは、登場人物の周りを彩るインテリアや車など当時の文化だった。

「ピンク電話を見たとき、『こんな可愛い電話使ってたん!?』ってまず驚いて。それ以外を見ると、冷蔵庫も形が面白いし車も可愛い。ファッションもメッチャええやん!と、映る全てが新鮮で刺激的に映ったんです。同じ人間で同じような生活を送っているのに、私が普段目にしたものと全く違うもので溢れていて。まるで異世界を見ているかのような感覚が、すごく面白く思ったんです」

ひたすら独学で掘り下げていくうちに、気づくと洋服からライフスタイルまでも昭和に染まっていった。高校に入ると周囲に昭和好きを公言。一緒に面白がってくれる人はいつつも、特異な目で見られる方が多かったという。

「高校時代は、『ビー・バップ・ハイスクール』や『湘南爆走族』のようなヤンキー漫画にハマり、カバンに『夜露死苦!』や『矢沢永吉』って書いていたんです。ある日、普通に登校していたら、別のクラスの子三人とすれ違ったところ、『あの子やで、噂の変わりもんって』と話しているのが耳に入ってしまったんです。

『なんで理解されないん!』って悲しくなって、そこから人とすれ違うときは、書いてある面を見られないように裏側にして、一人になったときに表にしてヤンキー気分を味わうという、コソコソ隠れながらの昭和ヤンキー活動を送っていました(苦笑)」

同窓生ならまだしも、大人にも理解は得られなかった。

「スケバンみたいにしようと夏服・冬服のスカート二枚繋げて長くしたら、先生から怒られてしまって。『短いと怒るのに、長くしても怒るのはなぜですか?』と聞いたら、『ふざけんな!!』ってさらに怒られて(笑)。まあ、私の屁理屈が悪いんですが、『こんなつまんない時代、もうええわ!』と、一時期は投げやりになっていました」

しかしここで折れることはなく、さらに情熱が燃え上がる。

「逆に全部見せてやる!なんなら私一人が昭和を生きているんだと思えばいいんだ!って、そこからは常に、『この世界で、自分だけは昭和の人間や!』と、振舞おうと心にきめたんです」

AUTHOR

田口 俊輔

CREDIT

撮影/荻原大志


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