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UPDATE|2021/03/03

女優・田村芽実、コロナ禍&初クラファンで得た“気づき”「お見合いしようと思い詰めた時期も」

田村芽実 撮影/荻原大志



 自粛期間中は人ともまったく会わず、外食なんてもってのほか。ささやかな楽しみといえば近所の薬局で少し高いシャンプーを買うことくらい。そんな田村の胸には「絶望」という文字が去来した。生きているという実感すら希薄になるほどだったという。

「“やることがない”って、私にとってはものすごくつらいですよ。何の責任もない状態だと、社会から拒絶されているような感覚になりましたし。それでも去年の後半くらいからは、徐々にですが朗読劇や配信のミュージカルが始まっていったんです。そして4年半前から温めていたソロでのミュージカルを、このコロナ禍だからこそやろうと立ち上がったのですが……現実は甘くなかったですね。とにかくお金の面でため息をつくことばかりでした」

 1つの舞台を作り上げるためには、様々な支払いが必要になる。宣伝費、稽古場代、スタッフへのギャランティ、音響・照明・舞台監督費、劇場費、音楽制作費、配信・撮影費、衣装、メイク、大道具や小道具を含めた美術費、PCR検査やアルコール消毒などのコロナ対策費……。ゲート収入が見込めない中、経費を捻出するために暗中模索を続けるしかなかった。

「演出面などでやりたいことを1つずつ諦めながら、それでもなんとか実現にこぎつけようとしていたんですけど……。正直言って、当初はクラウドファンディングというものに抵抗感があったんです。文化庁からの助成金と事務所の予算でなんとか収めたかった。予算と言っても、チケット収入で足りなかったぶんは会社のお金から持ち出しというかたちになるんですけどね。

 もともと私がいる事務所はそんなに大きいところではないし、タレントのマネージメントはしているけど、舞台の制作を自分たちでする部署はなかった。そういう意味でも『ひめ・ごと』は初めてのケース。それに加えてコロナで舞台ができなくなることも前代未聞のことだったから、全部を手探りで動かしてきたんですよ」

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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