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UPDATE|2021/04/11

「優勝しか意味がない」今季MVP Mリーグの“魔王”佐々木寿人が語る信念

撮影/松山勇樹


――たしかに今季終盤の各チームの闘い方を見ても、レギュラー突破のボーダーを争うチームは、佐々木さんを含め調子のいい選手の孤軍奮闘が目立ちました。

佐々木 理想は1位通過した渋谷アベマズみたいに全員が成績プラスしてることで。みんな調子よければチームの雰囲気もいいだろうし、いろいろ悩むこともないでしょうしね。セミファイナル以降は、レギュレーションで現状よりもポイント差が縮まるとはいえ、トップを獲りに行く積極的な麻雀に変えなきゃいけない。他の3人もそのへんは腹をくくってるんじゃないかな。頑張ってくれると思ってます。やっぱり立ち直らなきゃいけないから、落ち込む時間は短ければ短いほどいい。特に僕は、負け慣れているぶん余計にそう思いますね。

――佐々木さんはこれまでタイトルをいくつも獲得されていますが、それでも「負け慣れている」と言い切れるのもすごいです。

佐々木 まあ、タイトル戦で優勝したことはあっても、そこに出た数、負けてる数の方が圧倒的に多いですから。そういう意味ではMリーグは、選手が企業と契約して、プロとしてお金が発生する場で、今まで僕らがやってきた麻雀とは違う責任が生まれている以上、「優勝以外は意味がない」とも思っています。今期の残り試合もファンの方を喜ばせるような麻雀を打っていきつつ、最後には優勝したい。

――トッププレーヤーとして、Mリーグをもっと盛り上げる、あるいは今まで以上に面白くするためにはどうすればいいと思いますか。

佐々木 チーム数や選手数はあんまり増えないほうがいいかな、と僕は思っています。もし増やすなら2リーグ制にするとか。週4回、1日2試合と言うのは、見てくださる方にとってもちょうどいいような気がします。ただ、選手の入れ替えはもっとやってもいいのかな、と。まだ3年ですけど、マンネリを感じている方もいるかもしれませんし。

――その点では、Mリーグが連続して成績下位だったチームの選手入れ替えを義務付けたり、今シーズン4位通過のEX風林火山も、成績次第での選手入れ替えを示唆したりもしています。

佐々木 ファンの方がどう感じるか、という問題があるのでなかなか難しいですけど、でも画期的だと思いますね。トレードなんかも、少しずつ出てくると面白いかもしれない。麻雀好きな方の裾野は少しずつ広がっていると思うんです。麻雀教室をやっているようなプロも多いし、Abemaの生放送を、ゴールデンタイムのお茶の間で家族で見ているファンの方だっていると思うし。僕らが父親の見てる野球中継を見て選手の名前を覚えた、ということもあったじゃないですか。

――徐々にではあっても、麻雀の持つ良くないイメージも変わってきたんじゃないか、と。

佐々木 僕個人は、そういう教室で誰かに教えたりするのは苦手なので、プレーで訴え続けるしかないのかな、と思います。魅力があると感じてもらえるような麻雀を打ち続けるだけですね。

【後編】MリーグMVPの佐々木寿人が語る「運命的な出会い」と「プロ入り秘話」はこちらから

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