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UPDATE|2021/05/16

井上咲楽が河野太郎大臣にコロナワクチンについて直撃「これから接種のスピードを上げていける」

左から井上咲楽、河野太郎 撮影/荻原大志



河野 世界的に見ると、日本は欧米に比べてコロナに感染した人の数がとても少ないんですよ。今、使っているファイザー製のワクチンは2020年の7月から世界的な治験が行われました。その際、1万人、2万人規模の感染者を集め、ワクチンの注射と偽薬(生理食塩水)の注射をして効果を比較するわけです。でも、日本はもともと感染者が少ないからワクチンや偽薬を注射した後に感染する人数も少ないので、治験の結果が出るまで時間がかかる、と。スピードが重視される中で、治験の対象から外されたわけです。それが欧米と比較して接種が遅くなった理由の1つ。その後、日本人が使って安全かどうかの確認の治験ができたのが、10月でした。そこから厚生労働省が認可して、2021年2月に医療従事者への先行接種を開始となったわけです。治験での3カ月の遅れを、接種で2カ月遅れに取り戻したと言えます。

井上 ワクチンの確保が難しいという話も聞きます。日本国内でワクチンを作るのはまだまだ先ですか?

河野 今、日本で4社が取り組んでいます。ただ、先程と同じ理由で最終段階の比較研究の治験が難しい。また、5月以降はどんどんワクチン接種が進んでいきます。すると、これはいいことですが、ますます治験の対象となることのできる人が減っていくわけです。そこで、開発中の各社は治験を海外で行う、接種後の抗体の変化を科学的に調べて効き目を判別するなど、新たな方法を模索しています。

井上 なるほど。

河野 というのも、国内でワクチンを作れるかどうかは非常に重要なことなんです。国内生産できれば供給は安定しますし、新たな変異株が出てきたときもすばやく対応できます。実際、ワクチン接種担当の大臣でもある僕の頭痛の半分は、ヨーロッパからワクチンを確保するための交渉ですから。日々、もう一便早い飛行機に乗せてくれないか、来週届くはずのワクチンをなんとか今週発送してくれないか、と。そういう交渉をしているわけですが、ファイザーから「わかった、100万回分を3日後に出す」と確約を取っても、EUが止めるケースがあります。

井上 止められちゃうんですか?

河野 1月に「輸出透明性・承認メカニズム」というルールが作られ、EU域内からワクチンを域外へ輸出する場合、毎回、欧州委員会から許可を取らなければいけなくなったんです。日本に来ているファイザーのワクチンは、ベルギーで作られて飛行機で発送されます。その一便ごとにEUの許可が必要で、「日本は感染者数が少ない」といった理由で止められそうになるケースがあるわけです。それに引っかからないよう随時交渉しています。

CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志


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